2010年1月

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納品前に…
ビンテージのリーバイスジャケット、70505のビッグEです。本品は極めて状態が良く、40年以上前に生産されたとは思えないほどです。日常使用には全く問題ないレベルですが、それでも各部にチェーンステッチの糸切れがありますので、納品前に地縫いミシンで補強をしておきます。色糸を使うと補修跡が目立ってしまうため、地色に近いネイビーの綿糸で、テンションをかけて縫っておきます。こうすることで手を加えた痕跡はほとんど残りません。強水流で洗濯機にかけてもパンクするようなこともなく、気軽に着ていただけます。
*リーバイストラウス・ジャパンで度々企画生産された復刻ビッグEではなく、当時モノです。念のため。
昨日から本H.Pのアドレス(jet-r@marble.ocn.ne.jp)でのメールの受信が出来なくなっております。送信は普通にできるのですが…
いまから復旧作業に入ります。ご迷惑をおかけしますが、もうしばらくおまちください。

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15時頃復旧いたしました。
メール受信できない間にお電話でお問い合わせいただいたお客様、ご迷惑をおかけしました。
今後共宜しくお願い申し上げます。
本日の修理品
バリッとタテ落ちしたパンツの修理品が入りました。今回は、大きく穴の開いた膝のパッチワークの際に、着物地を挟み込んでアクセントにしています。力織機で織られたデニムの色落ちと、着物地のコントラストがいい感じです。
当店から南へ数分、川を隔てた反対側にあるモトショップ、K&Nのオーナーからの修理依頼です。トライアンフのチョッパービルダーでもあり、フレームワークから板金塗装まで全て自社で手がけておられます。軽快なトラ・チョッパーにはエンジンの造形美をいかした独特の魅力がありますね。
(自前)ワークブーツ・オールソール
若い頃からワークブーツの魅力に取り付かれ、身分不相応に高額のものもずいぶん買い込んできました。履きつぶすようなことがないので、今では沢山ありすぎて置き場所に困っていますが、それぞれに思い入れがあるのできちんとメンテナンスもしています。しっかりしたつくりのものを選び、無茶な扱いをしなければ、何十年と履き続けることが出来ます。
学生時代(25年以上前!)名古屋駅の地下街・サンロードにアウトドア用品の専門店がありました。その店で有名な(マニアの間でだけね)サルツレザーのチロリアンシューズを購入し、思いのほか履き易く、しっとりしたオイルドレザーの質感も気に入ってずいぶん重宝していました。ビブラム社のタンクソールはなかなか減らず、一度も張り替えたことがありませんでしたが、一昨年ゴムが劣化し、かえりの部分にビキビキとヒビが入ってしまったので、それ以来箱に入ったままになっておりました。今回デラソウルさんの大阪工場におねがいして、ソールを全く同じビブラム社のもので丸ごと交換していただきました。結果は素晴らしく、ミッドソールとの合わせ目も全くわからないほどです。…さすがです。これであと20年ぐらいはいけるんじゃないでしょうか?
ついでにお願いしたレッドウイングの8104(セッターのローカット)は15年ものですが、こちらはお奨めいただいた国産のウェッジでオールソールしてもらいました。こちらも申し分のない出来です。
今、わがままを言って、レッドウイングのスチールトゥのペコスにダブルのミッドソール(本革)を縫い付けてもらっています。ホワイツなみに歩きにくくなるかもしれませんが、ちょっと試してみたいと思います。
本日の修理品
ずいぶん昔に生産されたエビスジーンズの修理が入っています。
全体にボロボロで分解しかかっており、ウエスに近い状態です。このタイプは全て綿糸で縫製しているため、必ず各部が糸切れをおこします。
後ろポケット周りの糸が擦り切れて底が抜け、リベットだけでつながっており、歩くたびにヒラヒラしている状態です。フロントのボタンホールもすべてダメになっており、ボタンが掛かりません。左右の膝はパックリと口を開けています。
この状態になるまで手を入れずに履き続けてきた亊にほぉ〜と感心してしまいます。
今回は『リメイク風』ではなく本当のリメイクになりますが、着用出来るレベルに復活させたいとおもいます。

デニム製品のリペアについて、電話やメールで料金、納期等お問い合わせをいただくことがありますが、以下の点をあらかじめご了承ください。

*料金について
修理品の状態は千差万別ですので、正確な金額は店頭で見積もってみないとわかりません。目安としては、カケツギで裏打ちする場合は一カ所2500円以上になります。小さな穴でも生地が薄くなっている場合は、お客様の想像以上の範囲を裏打ちするケースが多いです。

*納期について
可能な限り迅速、丁寧を心がけておりますが、人手もスペースも限られた中で対応しておりますので、いつでもすぐに対応出来るわけではありません。また、たて込んでいる時期には、当然ながら自店で販売した商品を優先的に扱います。

*リペアをお受け出来ないケース
洗濯されていない製品の汚れ、ほこりは機械の故障原因となりますので、洗い上がりの状態以外はお受けしかねます。
パッチ縫い付け
以前もパッチの縫い付けをご依頼いただいた奈良県のお客様からです。
L-2、MA-1、B-10の3着にそれぞれご指定のパッチを縫い付けます。
B-10の背中には革製のブラッドチットを縫い付けますが、これには『来華助戦 洋人 軍民一豊 救護』とあります。これは、日中戦争時に、中国を支援するためにアメリカから送り込まれた義勇兵が撃墜された場合、中国人に『我々は支那を支援するために来ました。救助してください』の意味あいです。彼らは第二次大戦が始まる前に、すでに日本軍と交戦していたのです。米航空隊のフライトジャケットにオリエンタルなパッチの組み合わせが独特な雰囲気をかもしだします。
ディアスキン・グローブ
週半ばの暖かさはどこへやら、ここ数日、またぐっと冷え込みがキビしくなっています。
しかしそんな中でも、『真のライダー』のみなさんは愛車を駆ってやってきます。寒さで手足がかじかみ、顔は死人のように変色し、鼻水は凍り付いています。店頭でなにかモゴモゴと語りかけてくれますが、舌がまわらないのでよく聞き取れません。そんなときは、ほおほおと適当に相槌を打っております。
そんな冬場のライダーの友、ディアスキンのロデオ・グローブのご紹介です。
ウエスタンブーツメーカーのジャスティン製(本品は中国生産)のアウトドア全般に使用出来るタフなグローブで、当店では地味ながら長年の販売実績があります。
鹿革特有のしなやかさと丈夫さ、シンサレート(保温素材)で裏打ちされたつくりの良さ、価格も4900円(輸入時のレートで多少上下します)と非常にリーズナブルです。
そして鹿革の特性として、汚れたら丸洗いが可能なこともポイントです。両手にはめた状態で洗剤を付け、手を洗うようにゴシゴシ汚れを落とし、日陰に干して自然乾燥させればまた気持ちよく使っていただけます。
*春〜夏用の裏打ち無しのタイプ(3900円)も販売しています。
昨日は衣料品のサイズ表示が、素材や製造工程によって基準値からずれてしまうことを書きましたが、それとは全く別に、メーカーが戦略的、意図的に表示の仕方を変えることがあります。
レディース衣料の分野では、実際の寸法よりサイズを小さく表示(サイズ偽装?)されていることがあります。男性にはいまいちピンとこないかもしれませんが、女性にとっては自分のジーンズがSサイズであるのか、Mサイズであるのかは重大な問題のようです。したがって販売する側も、実際よりもサイズの表示が小さい方が売りやすいということになります。バカげていますが、店頭でスタッフからSサイズを勧められるか、Mサイズを勧められるかで購買意欲が違ってきたりします。ハナからLサイズを勧めることなど、御法度と言っていいぐらいです。実際にあるデニムメーカーでは、レディースラインのLサイズを全廃し、それまでS、M、Lの展開だったのを、SS、S、Mに変えてしまいました。でもこれは、単にサイズの表示をS→SS、M→S、L→Mと変えただけで、3サイズの展開(寸法)に変わりはないのです。全く偽装と言うほかないのですが、競合のキビしいレディース衣料ではそういった対応も必要なのかもしれません。
同じM、あるいはLの表記がしてあっても、メーカーやブランドによって実際のサイズがバラバラなのはみなさんご承知のことと思います。実は日本にはJIS(日本工業規格)によって衣料品のサイズ表示について一応の取り決めがあるのです。(例/Mサイズ=対応身長170センチ、ウエスト80センチ)しかし現実には実際の製品にはけっこうなバラツキがあります。無用な混乱を避けるためにも基準値に近いにこしたことはないのですが、なかなか難しいのです。以下、アイテムごとの問題点を列記してみますと…
*Tシャツ
綿100%素材では製品染め(丸染め)によって染色したものはかなり縮んでいることがあります。
また国内メーカーでもインポートのボディをそのまま使用しているケースでは表記が海外基準のままということがあります。
*スウェット
本格的な丸胴編み(吊り編み)などは、もともとサイズは安定しません。サイズ表示は目安程度にしかなりません。
製品染めや、強くウォッシュ加工されているものなどは、恐ろしく小さくなっていたりします。
*シャツ
カジュアルシャツなどでは縫い上げた後に製品洗いして出荷するケースがほとんどですが、素材によって大きくバラツキが出ます。縮率の大きなものは、あらかじめ縮み分を考慮して大きめにつくった上で洗いにかけますが、なかなか計算どおりにいきません。
*ジーンズ
これはメーカーにより対応もわかれていまして、未防縮のデニムを使用する場合でも、裁断時のウエストの実寸法でそのまま表示するメーカーと、洗った後の縮み上がり寸法を想定して表記するメーカーがあります。このため、同じ表示でも1〜2インチも差が出てしまいます。
*ベルト
これも製品の問題ではなく、メーカーの表示の仕方がわかれていて、ピンから5ツ穴のセンター穴までを実寸(例えば32インチ=81,3センチ)で表示するメーカーと、32インチのジーンズに対応する長さ(32+α)で表示するメーカーでは1インチ以上長さが違います。

購入の際には店頭での現物合わせがもっとも確実なのは言うまでもありませんが、WEBで購入をお考えの際には、製品の実寸法とお手持ちの衣料品との寸法比較が必須になりますね。
ウエスタンシャツのスナップ釦付け
当店ではSHOPオリジナルの製品としてウエスタンシャツをリリースしています。
既存のメーカー品もたくさん扱っていますが、どうしてもありきたりのデザインになってしまい、デコラティブなウエスタンシャツの面白さに欠けるため、自店で展開しようと考えたのです。極少ロットの生産で、一昨年頃からぼちぼちと始めました。こちらで型紙と縫製指示書、生地と付属品の一式を手当てして、裁断と縫製を職人さんにお願いしています。手裁断のため、柄合わせも完璧です。縫い上がったシャツにはウエスタンシャツ特有のスナップ釦をつけますが、これは当店の店頭で打ち込んでいます。四つのパーツから成り、上側がトップとソケット、下側がスタッドとリングという組み合わせで、生地を挟んでポンプでカシメて固定します。一定の圧力でカシメていかないと、使用中にポロリと取れたりするので、細心の注意をはらって作業しています。
本日の修理品
またまた出ました、ジッパー故障です。
こちらは1999年に販売したバズのOLDIN社実物ネームのB-10です。表生地がコットンではなく、コットンとレーヨンの交織というめずらしいタイプで、ドリズラージャケットのようなテカりがあります。このタイプには、L-2と同じクラウンのスプリング・カムロック式のジッパーが付けられますが、この5号サイズのクラウン、華奢で美しいフォルムをしていますが、細身なだけにあまり頑丈ではありません。今回もアルミ・ダイキャストの引き手にヒビが入り、開閉不能になっておりました。ムシには何の異常もなかったので、メーカーに発送してスライダーを新品(担当は強化パーツと言っていました)に交換させ、お預かりから一週間程で納品いたしました。

*バズリクソンズ製品の修理についてお問い合わせいただくことが多いのですが、パーツ交換(ジッパー、リブ、スタッド等)を伴うメーカー対応修理につきましては、当店で販売した商品以外はお受けしておりません。お買い上げになった販売店にてご相談ください。当店に販売記録のある商品につきましてはメーカーへの発送、修理代の見積もり、納期管理等責任をもって承ります。
*パーツ交換の必要がない修理、カスタムワークは、都合のつく限り持ち込み品にもSHOP内で対応しております。
本日の修理品
持ち込みでチェーンステッチのご依頼です。
表側(上糸)をネイビーで、裏側(下糸)をオレンジでセットして、チェーンは虎縄のようにコンビの仕上げになります。どこかのデザイナーブランドのようですが、全く興味がないのでよくわかりません(本当のこと言ってすみません)。生地はポリウレタン混のもので、よくおばちゃんジーンズや、流行もののスリムフィットやブーツカットに使われる、伸び伸び系です。この手の生地は、裾線を裁断した時点で横に伸びてしまい、機械にかけて縫うときに引っ張りすぎるとさらに伸びてしまうので注意が必要です。
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ところで、今日から始まる国会に注目しています。
政治とカネの問題ももちろんですが、『日本は日本人だけのものではない』と言い放ったアホ首相のもと、民主党は在日外国人に地方参政権をくれてやろうとしています。こちらのほうが大問題で、国境の島を占領されかねない極めて危険な法律です。この成立をなんとか阻止してもらいたいものです。
ヒールラバー交換
外注に出したウエスタンブーツのヒール修理があまりにもみごとな出来映えだったのでご紹介いたしましょう。
今回お願いしたのは大府市のデラソウルさんです。
当店が販売するウエスタンブーツは大阪のFUNNYが輸入元になっており、しっかりした修理工場も持っています。レザーソールの全面張り替えなど高度な技術を必要とする仕事はすべてこちらにおまかせし、往復の送料と修理代の実費をお客様からいただいています。しかしヒールラバーの交換のみの場合は、修理代よりも送料の方が高くついてしまう上に時間がかかるので、近場で修理出来るところをご紹介しています。以前はウエスタンブーツのヒールに対応出来る1センチ厚のラバーを持っている修理屋さんは少なかったのですが、現在はほとんどの修理屋さんが扱うようになりました。
ただ、職人によって技術のレベルに大きな差があり、プロとしての誇りも責任感もないハンパ職人の手にかかると情けない仕上がりになってしまいます。昨年までよくお願いしていた修理屋さんも職人が変わったことで、スタック(ヒールの積み革部分)とラバーのつなぎ目がはっきりわかるような雑な仕事になり、底釘も浮き気味だったりして、がっかりさせられていたところです。
今回お願いしたデラソウルさんは初めてだったので、試しに自前のトニー・ラマをお願いしました。応対した職人さんは年若いおにいちゃんで、もっさりした感じだったので、大丈夫かいな?と思いましたが、仕上がりは見事なものです。交換したラバーの外回りは傾斜をつけて美しく削り込まれ、ラバーをスタックに留めるために打ち込まれた釘は、頭も見えないように処理されています。即日修理で、2000円でおつりがきました。この仕事内容ならむしろ安いぐらいです。
ビブラム社のソールも扱っているようなので、今度ワークブーツもお願いしてみようかと思います。
スタッズベルト製作中
当店では一昨年からオリジナルアイテムとして、スタッズベルトを製作しています。
帯はしっかりと腰のあるタンニンなめしのステアハイドを使用し、バックルも真鍮のキャスト製のもので、あえてクリア処理をしていません。一般に真鍮製のバックルは、鍍金を施すか、真鍮の上にクリア塗装を施します。これは真鍮が銅と亜鉛の合金であるために、銅と革のタンニンが反応して変色するのを防ぐためです。商品として店頭展開する上でも、変色しやすいのでは売りにくいという感覚もあったとおもいます。しかし、鈍く変色した無垢モノには独特の味わいがあり、ピカピカ、キラキラしたバックルよりも、日本人の感性にはピッタリくるのではないでしょうか?
スタッズも真鍮製で二本爪(ツープロング)と呼ばれるもので、こちらはスタンダード・リベット社のものを使っています。この二本爪の打ち込みには非常に手間がかかり、二の字に開けた穴に鋲を差し込み、裏のツメを折り込んで上からプレスします。国内では専用の工具が流通しておらず、ジグを金型屋さんにたのんでつくってもらいました。打ち込みのパターンはフローラルとアローヘッドの2種で展開しています。フローラルパターンの方は後ろ中心部分にスペースがあり、スタッズでイニシャルを入れることも出来ます(別途1000〜2000円)。
ただいま年末年始に販売して欠品したサイズを製作しております。
本日の修理品
強靭なブラウンダックのワークパンツの裾上げです。
ダック生地は太い糸で織られた平織り生地のことで、キャンバス、帆布(ハンプ)とほぼ同じ意味です。キャンバスはその名の通り、表面に白い顔料を塗って油絵を描くのに用いられますし、帆布はヨットの帆の素材として用いられたことからその名があります。
裾上げはオリジナルに準じてシングルミシンでおこないますが、ワークパンツの裾の巻き幅はやや太く、1,2センチくらいでとります。シームは両側とも3本針で巻き伏せられており、非常に曲げにくいので、プライヤーで挟んで処理します。お店によっては、シームの部分を木槌でバンバンたたいて折り込んでいるところもありますね。
このくらいの生地は工業用の地縫いミシンでならサクサク縫えます。
余談になりますが、ミシンの仕様を大雑把に分けると、工業用、職業用、家庭用ということになるとおもいます。
工業用は、単一機能で工場で一日中ぶっ通しで踏み続けて使うことを前提につくられていますから、頑丈なのは言うまでもありません。重い鋳物のボディで、モーターも大きなものが別体で取付けられます。
職業用は、手内職のプロの方達が使うポータブルタイプのミシンです。こちらは基本構造は工業用と変わりませんが、モーター内蔵型で、ボディはプラスチックを多用しているので、持ち運び可能です。耐久性は工業用には及びませんし、動力が弱いので厚物縫いも限度がありますが、故障も少なく、メンテナンスをちゃんとすれば20年以上は充分使えます。懇意にしているミシン屋さんによると、趣味で古布の縫い物をしているおばちゃんたちにも人気があり、中古の出物などがあるとすぐに売れていくそうです。
家庭用は、オモチャに毛が生えたようなもので、私は使い捨てミシンと呼んでいます。以前、作動しなくなったのを預かって修理しようとバラしたことがあるのですが、最も負荷のかかるギヤ周辺のパーツにプラスチックがコーティングしてあるのを見て、こりゃダメだと思いました。マンション等で使うことを考慮して、音が出ないように対策してあるのでしょうが、これでは抵抗の大きな生地など縫えるはずありません。内部パーツのプラスチックが経年劣化してひび割れたのが故障原因でしたが、そのパーツもメーカーの方では欠品しており、年数が経ち型替わりしているので対応出来ないとあっさり言われました。その時点でミシンではなく粗大ゴミになりました。よくTVショッピングなどで、使いもしない余分な機能満載で、『こんなに厚い生地の重ね縫いも楽楽〜♪』などとやっていますが、ウソつけ!と思いながら観ています。非力なモーターが焼き付きそうになっているんじゃないでしょうか?
宣伝に乗せられて買ったら後悔すること請け合いです。
本日の修理品
引き続きデニムの修理です。
現代的なジーンズは、内側の接ぎ目(インサイドシーム)を二本針巻き伏せという縫い代を巻き込むダブルステッチで処理するのが一般的ですが、ビンテージ(及びレプリカ)ジーンズでは地縫いした縫い代を片倒ししてコバステッチという仕様になります。そのため股ぐり部分では、ほつれや引っ張りに対する強度が劣るので、どうしてもパンクし易くなります。完全に裂けてしまう前の段階で手を加えてやりましょう。
裂け目の裏に当て布してかけつぎ→上から綿のテープで前後の身頃をつなぐとともに縫い代をカバー→完了
この修理は、名古屋市で婦人服を展開する◯ーノ・ピュ◯の店長氏からの依頼です。
東洋製品のファンでもあり当店のお客様としてもご愛顧いただいております。ご来店になるたび、昨今の業界事情や信用情報などを交換したりしています。
彼のお店は商業施設のインショップのために営業時間が長く、スタッフを集めてシフトを組むのに大変な苦労をしていたようですが、このところの不況で、人材募集をかけると希望者がどっと押し寄せるそうです。
平成大不況も人材を求める側には有利にはたらきますね。
B-15CとMA-1
今日は女性オーナーのご希望で、B-15C(モディファイド)のオリーブグリーンに当店で製作したパッチを縫い付けました。第8空軍の8にドラゴンが絡んでいる、ローカルメイドのパッチを元に製作しました。ちょっとなごみ系です。
ところで、B-15C(MOD)と、後継のMA-1(その間にB-15Dもありますが)の大きな違いは色(B-15C/オリーブまたはネイビー MA-1/セージグリーン)とジッパー等の付属関係ですが、縫製の仕様にも大きな違いがあります。両方をお持ちの方はおわかりでしょうが、着用感が全く違います。両方共に中綿にウールパイルが入りますが、B-15Cでは袖口と裾線をとじるとき、表地と裏地でリブで挟み込みますが、中綿は縫い込まずに浮いた状態(ふらし)で始末します。それに対してMA-1では中綿も同時に縫い込みます。これによって縫い代部分が張り出してガッチリしたフォルムになります。MA-1の方がしゃちこばった感じになるのはこのためです。この方が戦闘服らしいといえばらしいのですが、街着としてさらりと着るにはB-15系の方がなじみやすいかもしれません。このへんは好みが分かれるところですね。
本日の修理品
今週はデニム修理を集中的にやっております。
画像はヒップ周辺の生地が薄くなり、パンク寸前だったものを裏打ちしました。左右のヒップから股ぐりにかけては曲面なので、左右別々に当て布をします。今回は薄手のデニム生地を当て布に使いました。一般にジーンズの修理には接着芯地(シャツの衿の成型等に使われます)を用いますが、当店では小さな穴をふさぐ時以外はあまり使いません。接着芯地は、ガーゼのような生地に熱で溶ける樹脂をのせたもので、アイロンで圧着出来ます。お手軽ですが、デニムの表面に樹脂を浸透させることになるので、広範囲になると生地の風合いを損なってしまいます。大きな面積をカバーするときにはやはり当て布をして地の目(生地の方向)にそってたたいていく方が良いと思います。また、タタキもあまり細か過ぎると生地の縦糸を切ってしまうので、ある程度間隔をもたせています。

デニム製品のリペアについて、電話やメールで料金、納期等お問い合わせをいただくことがありますが、以下の点をあらかじめご了承ください。

*料金について
修理品の状態は千差万別ですので、正確な金額は店頭で見積もってみないとわかりません。目安としては、カケツギで裏打ちする場合は一カ所2500円以上になります。小さな穴でも生地が薄くなっている場合は、お客様の想像以上の範囲を裏打ちするケースが多いです。

*納期について
可能な限り迅速、丁寧を心がけておりますが、人手もスペースも限られた中で対応しておりますので、いつでもすぐに対応出来るわけではありません。また、たて込んでいる時期には、当然ながら自店で販売した商品を優先的に扱います。

*リペアをお受け出来ないケース
洗濯されていない製品の汚れ、ほこりは機械の故障原因となりますので、洗い上がりの状態以外はお受けしかねます。
本日の修理品
年末、年始にお預かりしたデニムの修理をせっせとやっているところですが、リブの補修依頼が入りましたのでご紹介します。
画像ではわかりにくいかもしれませんが、リブの中程に虫食いによるポチ穴が開いています。直径3ミリほどで、このくらいならば簡易修理で充分カバー出来ます。作業としては、粉末の樹脂を穴に落とし込み、熱を加えて溶かして固めてしまうというやりかたです。袖口を解体する必要も無いので、時間もかかりません。ニットパーツは小さな穴でもそのまま着用していると大きく広がってしまい、補修が難しくなります。以前にも書きましたが、リブの丸ごと交換は、中表にするために袖口だけではなく身頃までバラさなければならず、恐ろしく手間とお金がかかります。
穴が開いたら早く手を入れるにこしたことはないのです。

ところで日本には、高価な着物やジャケットの穴あきを補修する、専門職の人たちがいます。メーカー時代に、そのワザを目のあたりにしましたが驚くべきものでした。直径1センチほどの大きな穴を、その服の別の部分(縫い代や見返し端)から取った生地をほぐした繊維で、一本一本拡大鏡を見ながらピンセットでかけついでいくのです。仕上がりは完璧で、穴の痕跡すらありません。日本の職人技術の素晴らしさにすっかりヤラれました。
しかし、こういう人たちがヨーロッパのマエストロのように高く評価されないと技術は伝承されないでしょうね。現状では専門職は減っていく一方です。
キャスケット
キャスケットが昨年あたりからぽつぽつと売れています。
ハンチングに似ていますが横にふくらみを持たせたような形状になっています。当店ではニューヨークハット社のフェルト製のものを地味に展開しています(H.Pには載せていませんけどね)。春からはSUGAR CANEのキャスケットもラインナップに加わります。
キャスケットはなかなか使い勝手が良く、いろいろな服とコーデュネートできるアイテムです。
画像は2004年に当店でサンプル製作したデニム製のキャスケットです。商品化するつもりで気合いを入れて型紙から製作しましたが、日々、他の仕事に追いまくられて未だに現物化していません。
このときは、裾上げ等で大量に廃棄していたデニムの切れ端をなんとか利用出来ないかと考えたことと、懇意にしているミシン屋さんから横振りミシンの出物を紹介され、使う当てもないのに発作的に購入してしまい、それじゃ帽子でもつくろうかと考えたのです。
トップは8枚接ぎになっており、力織機で織られた高級デニム(切れ端ですけど)をぜいたくに使って、横振りミシンで接ぎ合わせております。腰裏と、ツバの芯地には本革を使用しました。フォルムも美しく、商材としては充分ですが、今期も作業時間がとれそうにありません。
ということで、こちらは話のネタとしてご紹介してみました。