店長日記

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ひきつづき、パッチ縫い付け
今週はこれで6着目になるでしょうか?今日はバズの新作MA-1、60年代のオレンジ裏のレプリカです。ネームと腕章、画像のタクティカル・エア・コマンドのパッチを縫い付けました。コマンドのパッチは米軍放出の実物ですが、お手頃価格の800円です。機械刺繍ですが、現代モノのようにシャキッとしておらず、ヨレヨレしていて良い雰囲気があります。実物のMA-1やL−2B、N-2Bなどによく付けられていますね。同じデザインで緑と黒だけで刺繍されたものもありますが、そちらは実戦配備のジャケットに付けるらしいです。ほかにも数種類ストックがあります。(ジャケットとの同時販売のみとさせていただきます)。
時節柄、ジャケットがらみの話題が多いですが、他のアイテムにも同様に力を入れていますので、よろしくおねがいします。
パッチ縫い付け
BUZZのB-10(赤リブ)に、手刺繍のパッチを縫い付けています。刺繍パッチにも様々なものがあり、一般に流通しているもののほとんどは、コンピューター制御の自動ミシンによる機械刺繍です。大量生産が出来、安価で、刺繍面は非常にきれいにそろっています。しかし表面が平滑できちんとそろいすぎ、味わいがありません。それからスカジャンなどに用いられる横振りミシンによる刺繍があり、職人さんの手作業になるために、これを手刺繍と表現することもあります。
本品はそのどちらでもなく、ミシンを使わずに、フェルト地に手針と刺繍糸だけで柄を入れていく、非常に手間のかかるものです。イギリスでフライトジャケットのレプリカを生産しているイーストマン社の10年以上前の製品ですが、実際の生産はパキスタンあたりではないでしょうか。先進国でこんな手間のかかるのをつくってたらメチャクチャに高くなってしまいます。ちなみに当店の店頭価格は8000円です。陸軍航空隊用があと10枚ほど、海軍用があと2枚あります。今後取り扱いの予定もありませんので、H,P上ではご紹介はしていませんが、店頭ではご覧いただけます。
フライトジャケット本体をお買い上げの場合は縫い付けは無料です。
本日の修理品
初期の頃のドゥニームのXXです。フロントのボタンホールがくずれて、ボタンが掛からない状態です。このタイプでは比較的多いケースです。これは、オリジナルにこだわるあまり、ボタンホールの芯糸、かがり糸とも100%の綿糸を使っているため、何年も着用しているとある程度起こりうることなのです。けして手を抜いてつくっているわけではありません。むしろ風合い重視で綿100%の糸を使用すればコストが上がります。しかし丈夫さの点では一般的なポリエステルの糸には全くかないません。
この商品特性を理解していただかないと、『値段が高いのにすぐにほつれたじゃねーか!』ということになってしまいますが。オリジナル重視のリプロ品では、オリジナルが持っている不具合も、そのまま受け継がれてしまいます。
修理は比較的簡単ですので、ご相談ください。
本日の修理品
広幅の巻き伏せ縫いによる裾上げです。仕上がり線から3,5センチ入ったところにシングルミシンでステッチが入ります。今回はデニムのカーペンターパンツですが、チノパンツなどはほとんどこの仕上げをします。折り幅が大きい場合、テーパーのきつい(先細りの)パンツでは織り上げてステッチが入る位置で横幅が足らないこともあり、脇の縫い代を開いて調整することもあります。このパンツは中古加工されていますので、違和感のないように最後に裾線をシェービングして荒らしておきます。
パッチ縫い付け
今日は犬山市のお客様からお預かりしたジャケットに刺繍パッチを縫い付けています。3着のフライングジャケットに、合わせて20枚ものパッチを付けます。地味なフライングジャケットも、フルデコレーションで全く違ったイメージになりますね。
コバいっぱいまで刺繍の入っているパッチは、縫い付けの際にミシン針で刺繍糸を切ってしまう恐れがあるため、出来るだけ細い針を使用します。
良書であるため、ご紹介
『環境保護運動はどこが間違っているのか?』槌田敦著 宝島社
地球環境問題を解決するためにやらなければいけないと当たり前のように言われている事の中に、いかに多くの嘘や誤解が含まれているかを本書は指摘します。
昨今の、猫も杓子ものエコブームは一体どこまでいくのでしょうか?
エコエコエコエコエコエコと、エコ意識無くば人にあらずの様なエコファッショがまかり通っています。
政府の経済対策としての自動車や家電のみならず、全く関連のない業種までがエコをネタに商売していたりします。当店の店頭にも再生デニムのエコジーンズでも置いた方がいいのかと思ってしまいます。(置きませんけど)
本書は10年ほどまえに上梓されたものですが、再読してみて、あらためて科学者の視点からの鋭い指摘には目から鱗〜の思いです。
本日の修理品
ケーシーズの45ミリ幅のギャリソンベルトに、38ミリ用のクラムライン社のバックルを取付けました。(カスタマーサービスに画像UPしました)。本格的なウエスタンのバックルは、多くが38ミリ(1,5インチ)幅対応で、幅広のベルトではポン付け出来ません。バックル側を加工する場合もありますが、この美しいクラム社のバックルは鋳物ですからロウ付けなども出来ません。そこでベルトのネック部分とホール部分の上下のコバを大胆にカットしてバックルのトンネルに収まるようにしました。カット面とステッチの端も始末してあります。この後、女性オーナーのご希望で、大小のスタッズをスキップ状に打ち込みます。上品で高級感のある、一点ものに仕上げます。
本日の修理品
ネルシャツの着丈を少し短くしたいとのご要望で、裾線を5センチほどカットしました。裾を外に出したシャツの上にハーフ丈のジャケットを着た場合、あまりシャツの丈が長いとバランスが悪いです。この修理も、時々リクエストをいただいています。裾のスカラップの形状により、ジーンズの裾上げと同じように三つ巻きするか、ロック始末して二つ折りにしてコバステッチを入れます。今回は地厚なネル地でしたので、スッキリおさめる為にロック処理しました。プレスしていませんがよじれも無く、きれいにラインも出ています。
本日の修理品
同じ方がまとめてお持ちになった80年代以降の505/517です。カリフォルニアで生産していた頃でしょうか?生地は防縮加工されたものを使っています。縫製もすべてポリエステル糸で、裾上げもチェーンステッチなど使っていません。丈つめをしますが、カット分が2,5センチほどなので、三つ巻き分の縫い代を確保するために、一度裾線をバラしてプレスで伸ばした後にカットします。オリジナル通りにポリ糸を使ってシングルミシンで裾上げします。
ところで、ビンテージジーンズのブームとともに注目されたチェーンステッチによる裾上げですが、誤解をされている方も多いと思うので少し触れておきます。
まず、チェーンステッチ(環縫い)はシングルステッチに比べて強度の点で劣ります。環縫いはセメント袋の口をふさぐのに用いられていますが、セメントを使うときに、一カ所に切れ目を入れれば、そのまま縫いはじめの方向にツルツルと抜けていきます。あれと同じことです。けして丈夫なものではありません。着用に伴って一カ所糸切れをおこすと、そのままバラバラと糸が抜ける事がよくあります。学生時代にリーバイ・ジャパンでアルバイトをしていましたが、裾をカットする習慣の無い欧米で、チェーンの裾線のほつれがクレームの嵐となって、シングルミシンに変更になったと聞きました。真偽のほどは定かではありませんが、ありえる事だと思います。
それから、チェーンで綿糸を使って裾上げすると、その後に糸が縮んでアタリが出ると信じている人もいますが、ありえません。裾のアタリは、チェーンとも糸の材質とも関係なく、機械に挟み込むときのアタッチメント(ラッパ)の形状によって、三つ折り部分が直角に折り込まれず、微妙に斜めによじれることでおこります。独特の味わいがありますが、これも一種の縫製不良と言えなくもありません。
当店では、とくにご要望が無ければオリジナルのディテールに準じた加工をしていますが、お客さまのお好みで仕様変更も可能です。
シェリダン・カービング
最近のレザー製品のブームで、革ザイフや携帯ケースを自作する人がずいぶん多くなりました。中にはツールを一通り揃えて、カービングに挑戦する方もいらっしゃいます。カービングには様々な手法がありますが、ネイティブ系のイメージにぴったり合うのはシェリダンスタイルのカービングです。発祥がワイオミング州のシェリダンのためこの呼び名らしいのですが、大雑把に言うと、花柄を中心に茎や葉が規則的に渦を巻くパターンです。FUNNYのカービング製品はすべてこのスタイルですね。もちろん職人さんによって、ディテールにはかなりの違いが出ます。スタンプツールは鋼材を削って自作したものも多いのです。また、同じ人が同じ素材に彫る場合でもトレース無しのフリーハンドですから、全く同じものはありません。それも大きな魅力です。
私はカービングは本職ではありませんが、自分で使うものは出来るだけ自作するようにしています。画像は2,3年前に作ってSHOPで使っているトレーです。革は西尾市のクラフトマン・永谷氏のご提供です。質の良い革を使えば打刻面がはっきり出て、凹面のもどりもありません。時間が取れたら、大きなものも作ってみたいと思っています。
B-6 ネームプレート製作
週明けからは茨城県のお客様のオーダーで、B-6とA-1のネーム製作、縫い付けにかかっています。B-6はB−3と同じ羊革のフライトジャケットですが、毛足が少し刈り取られて短く、運動性が向上しています。比較的軽いので街着としても着易いアイテムです。
ネームの刻印は任意に決めていただくのですが、今回はB.RICKSONで製作いたしました。縫い付けの際は、モーターをオフにしたミシンで手送りで縫っていきます。ムートンへの縫い付けは、機械のセッティングに時間がかかります。実際に縫う時間よりもセットしてテンションを調整する時間の方がかかるぐらいです。革製品の縫製は、布製品のようにやり直しがききません。先端が菱になった針で繊維を切り開きながらザクザク縫っていくので、穴が開いた箇所は元に戻りません。何度も縫い直しなどしていたら、切り取り線のようになって革が切れてしまいます。一発勝負の世界なのです。
名著であるため、ご紹介
『大人たちの失敗』櫻井よしこ著 PHP文庫
私が心から尊敬する保守論壇の巨星、希代の女傑、櫻井よしこさんの著書です。
7〜8年前に刊行されたものの文庫版です。日本の教育、福祉、環境などの社会問題から始まって憲法、外交、国防問題まで素晴らしい見識で斬りまくります。このお方は、いっそ政治家に転身していただきたいぐらいですが、残念ながらご本人にそのつもりは無いようです。
当店をご利用いただいている自衛隊関係者の方々ならずとも、日本人なら誰でも思わずふんふんと頷いてしまうような内容です。
ご一読あれ。
エアフォースパッチ
今日はお客様のオーダーで、フライトジャケットの左上腕に縫い付けるウイングマークの刺繍にトリミングをつけています。このウイングマークのデザインは、最近Tシャツや、スウェットのプリントに多用されるようになりましたね。所ジョージさんの影響でしょうか?所さんといえば、昔深夜のラジオ番組でDJをしていたのを聴いていました。番組中にギターを弾いて歌ったりもしていましたが、あまりにもヘタクソすぎて、強く印象に残っています。テレビでブレイクするずっと前ですけど…
さて、この刺繍パッチ本体はデッドストックで、当店で長年にわたってちびちびと販売しているものです。製品染め(丸染め)されていて渋い色合いなので隠れた人気商品です。トリミングに使った革は、懇意にしているレザー作家の方から提供を受けています。赤茶色のタンニンなめしで、オイルを入れてやると、じわりと浸透していきます。
フライトジャケットは、もともとシンプルで特徴のないものですが、オーナーのセンスでワンポイント加えてやるだけで表情が出てきますね。
フライングスカル
今日は埼玉県のお客様からご注文頂いたフライングスカルのパッチを描いています。メールに当時の実物の画像を添付していただいたので、そのイメージにそって製作しています。中古風にというリクエストですので、少し色焼けした感じで仕上げます。ベースの革はタンニンなめしで、繊維の多いものを使ってみました。微妙に顔料を多く塗ったので、ひび割れ効果も期待出来ると思います。この後、無地のA-2のボディに縫い付けて完了です。
スタッズワーク
昨今のスタッズブームで、婦人服や、子供服の世界にまで浸透したスタッズですが、皆さまはどんなイメージをお持ちでしょうか?ちょっと古い世代の方はパンクロッカーを思い出す人が多いかもしれません。しかし元々は、馬具の飾り鋲として発展したもので、ウエスタンファッションの一アイテムなのです。古くは1900年頃の鞍やガンベルト、チャップスなどに装飾として用いられています。
今回は、バッカルー社のトートバッグのマチ部分に、フラワーパターンで打ち込んでいます。スタッズ自体も、手芸センターなどで販売している一本足のカシメ式ではなく、スタンダード社の真鍮製の二本爪スタッズ(HTCが使っているものと同じです)を一つ一つ手打ちしています。奥まったところに打ち込むのは大変ですが、以前当店のお客様さまからいただいたジグを使って作業を進めています。
このトートバッグは(記念日に)奥様へのプレゼント用にということですので、納期厳守で納めさせていただきます。
本日の修理品
本物のビンテージ、50年前のリーバイス501XX(ダブルエックス)です。遠く茨城県から修理依頼をいただきました。年代相応に全体にやれていますが、なんとか着用出来るレベルまで手を入れたいと思います。
20年位前、古着商だった頃、ジーンズは千本以上扱いましたが、XXモデルは既に別格扱いでした。それでも異常にバカ高くはなく、サイズ、コンディション共に良いもので、店頭で3万円位で販売していました。ちなみに赤耳(66)は5800円、レギュラーで4800円でした。しかしその後の古着バブルで状況が一変、アメリカ本土での価格が暴騰し、程度が落ち、サイズも揃わずで普通のビジネスにはならなくなりました。私は早々に見切りをつけ、アパレル時代のツテで、国内のレプリカもの中心に切り替えましたが、古着輸入にこだわった方々は大変だったと思います。なんといってもアメリカの古着ディーラーはユダヤ系(一部アラブの人もいましたけど)で、しっかりとカルテルをつくり、油断も隙も無く、強力なネゴシエーションが必要になります。日本人同士のように信義で通じる事はありません。『友愛』なんてバカなこと言ったりしたら徹底的にムシられるでしょうね。きっと。
絵文字のペインティング
フライトジャケットの左肩部分に筆記体で文字入れしました。白の顔料で描きますが、一度塗りでは下地の濃茶が出てしまうので、乾くのを待って3〜4回重ね塗りします。この顔料は足付きも良く、乾くと耐水性になります。11月中の仕上がり予定だったので、なんとか納期通りにいきました。
今日、店頭にバズのA-2をお持ちの方が、修理依頼でおこしになりました。ジッパーのテープのエンド部分が破損しており、結論から言うと修理をお断りしました。理由としては、当店での販売記録のない商品だった事、ジッパーを丸ごと交換する必要があり、メーカー対応になるケースだったということもあります。以前にも書きましたが、純正ジッパーのテープごと交換はメーカーの裁量で、非常に手間と時間がかかります。そして、お客様とメーカーの指定工場との間に立っての見積もりや納期管理、時には修理代の立て替えなども発生します。もちろん当店で販売した製品であれば(フライトジャケットに限りませんが)すべて対応しています。着用期間が短く、通常使用での故障であれば、補償交渉も可能です。しかしながら、他店の製品や中古流通品はその限りではありません。SHOPとして、一定のアフターサービスを維持する為にもどこかで線を引かせていただく必要があります。何卒ご理解ください。
ピンナップガール
フライトジャケットのバックペイントではピンナップガールを模写する事が多いのですが、やはり顔の描き込みには神経を使います。その他の部分は、こう言ってはなんですが、ある程度力を抜いても全体の雰囲気が出ていればそれほど問題にはなりません。しかし人間の顔は、ほんの僅かにバランスがくずれただけで違和感を感じてしまいます。当時モノの実物フライトジャケットのバックペイントにはきちんと描き込まれたものはほとんどありません。それはそれで独特の雰囲気がありますが、仕事としてお受けする以上、当時モノ風のブサイクなピンナップガールでは通りません。爪楊枝でまつげまで描き入れています。
それにしてもこの時期にはカスタムワークが集中してしまい、人手が無い為に対応が難しくなります。当店の時間的都合を言わせていただくと、春〜夏頃にご相談頂くと、あまりお待たせする事無く対応出来るのですが…
みなさまご検討くださいね。
フライングタイガース
フライトジャケットをお持ちの方にはおなじみの飛虎のモチーフ。お客様のご要望もあって、ちょっと明るい配色で描いてみました。実際このパッチはローカルメイドでさまざまなバリエーションが存在するようです。フライングタイガース(部隊)は第二次大戦が始まる前に、中国国民党の要請で対日戦争に参加した米空軍の義勇隊です。義勇隊といえば聞こえが良いですが、蒋介石のプロパガンダにのせられ(アコギなルーズベルトが裏で糸を引いていたのは言うまでもありません)、当事者でもないのに中国までやって来て、日本軍と戦った空の傭兵のようなヒトたちです。そのパッチは言わば敵性文化ですから、深く考えると微妙にムカつきますが、今は友好国なので許してやりましょう。
本日の修理品
FUNNYの携帯ケース(ナスカン式)はベルトループにカンをかませてブラブラ状態でお使い頂くのですが、ベルトに固定して使いたい場合は、後ろの革のループにベルトを通します。ところがこの革ループは38ミリベルト対応なので、今主流の45ミリベルトでは使えません。ということで45ミリベルトに対応すべく、ループ幅を拡げました。
今日からM-422(G-1の前身モデル)のペイント&パッチプロジェクトにかかっていますが、その合間の一仕事をご紹介しました。