店長日記

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ピンナップガール
フライトジャケットのバックペイントではピンナップガールを模写する事が多いのですが、やはり顔の描き込みには神経を使います。その他の部分は、こう言ってはなんですが、ある程度力を抜いても全体の雰囲気が出ていればそれほど問題にはなりません。しかし人間の顔は、ほんの僅かにバランスがくずれただけで違和感を感じてしまいます。当時モノの実物フライトジャケットのバックペイントにはきちんと描き込まれたものはほとんどありません。それはそれで独特の雰囲気がありますが、仕事としてお受けする以上、当時モノ風のブサイクなピンナップガールでは通りません。爪楊枝でまつげまで描き入れています。
それにしてもこの時期にはカスタムワークが集中してしまい、人手が無い為に対応が難しくなります。当店の時間的都合を言わせていただくと、春〜夏頃にご相談頂くと、あまりお待たせする事無く対応出来るのですが…
みなさまご検討くださいね。
フライングタイガース
フライトジャケットをお持ちの方にはおなじみの飛虎のモチーフ。お客様のご要望もあって、ちょっと明るい配色で描いてみました。実際このパッチはローカルメイドでさまざまなバリエーションが存在するようです。フライングタイガース(部隊)は第二次大戦が始まる前に、中国国民党の要請で対日戦争に参加した米空軍の義勇隊です。義勇隊といえば聞こえが良いですが、蒋介石のプロパガンダにのせられ(アコギなルーズベルトが裏で糸を引いていたのは言うまでもありません)、当事者でもないのに中国までやって来て、日本軍と戦った空の傭兵のようなヒトたちです。そのパッチは言わば敵性文化ですから、深く考えると微妙にムカつきますが、今は友好国なので許してやりましょう。
本日の修理品
FUNNYの携帯ケース(ナスカン式)はベルトループにカンをかませてブラブラ状態でお使い頂くのですが、ベルトに固定して使いたい場合は、後ろの革のループにベルトを通します。ところがこの革ループは38ミリベルト対応なので、今主流の45ミリベルトでは使えません。ということで45ミリベルトに対応すべく、ループ幅を拡げました。
今日からM-422(G-1の前身モデル)のペイント&パッチプロジェクトにかかっていますが、その合間の一仕事をご紹介しました。
大阪へ…
昨日は東洋エンタープライズの来年の盛夏ものの商談で、大阪に行ってきました。国内メーカーではこの時期に半年先の受注をうけ、生産を開始するのが普通です。生地からつくり込むようなメーカーの製品は、企画の段階からそれなりに時間をかけてものづくりします。
本町にある展示会場は、私が20年以上前に勤めたアパレルメーカーの目と鼻の先です。当時の同僚はもうあまり残っていないでしょうが、なつかしい社屋もまわりの風景も全く当時のままです。平成大不況のただなかでも船場には活気があり、エネルギーをもらったような気がします。
カットソー中心の商談はさくっとすませ、モパーフリークの担当とアメ車談義を交わして展示会場を後にし、FUNNY本社のある荒本に移動しました。FUNNYでは新規の商材として、レディース用のショートのウエスタンブーツを企画しています。メキシコのRANCHO社の生産で、本革ソールで2万円を切る価格設定です。メキシコからの輸入の場合は関税で優遇されており、この価格設定が可能との事でした。定番商品の欠品分をフォローし、帰りがけにTONY LAMAのフロアマットをいただきました(ありがとう!)。SHOPで長年使っていたラグマットが消耗しきっていたので、まさにグッドタイミングです。さっそく使わせて頂くことにしました。
昨日の修理品
バズリクソンズのB-15の袖下をかけつぎました。画像左のパックリ開いた穴が画像右のように塞がり、一見しただけではわからない程度に仕上がっていると思います。長年の使用にもかかわらず、リブには全く傷みがなかったので、これで通常使用には差し支えないと思います。
ところでバズのフライトジャケットの修理で、大仕事になるのはリブの丸ごと交換とジッパーのテープ交換です。どちらも身頃全体をバラさなければならず、大変な作業です。そして、製造元の東洋エンタープライズでは、開発した自社パーツ(丸編み段リブ、クラウン他数種のジッパー)の流出(→他社製品への流用)を避けるためパーツ販売はせず、正規代理店経由で返送されたものを指定工場に送り、修理に対応しています。当然といえば当然ですが、修理金額もケースバイケースになるので、一度修理伝票を付けて工場に送って見積もりを取らねばならず、非常に手間と時間がかかります。また、エンドユーザーからの直接の修理依頼には対応していないため、代理店に販売記録の無いバズの中古品を入手されたケースでは、事実上パーツ交換が困難になります。
本日の修理品
この時期、フライトジャケットの修理品がたくさん入庫します。これはバズリクソンズの初期ロットのB-15で、いわゆるM品番というヤツです。一昔前の製品ですので、このお客様とも長いおつきあいになります。ご購入頂いてすぐ、当店で製作したフライングタイガースのパッチや、CBI章、AAF章、ネームを縫い付けいたしました。長い年月を経て革パッチに表情が出て、独特のオーラを放っています。今回は袖リブの付け部分が派手にパンクしているので、これをなんとかしないといけません。本格的になおすとなると、袖口を解体してリブと袖裏をはずし、袖下をかけついだ後に付け直しをしますが、そのさいには身頃全体を中表にする必要があり、身頃の裾リブまで一旦はずさなければなりません。(このあたりは縫製の知識がある方でないとわかりにくいかもしれません)。とにかく、やたらめったら手間がかかります。
そこで工賃をおさえる為にも、バラし無しで、上から横振りミシンでかけつぐことにしました。修理跡は目立ちますが、それもまたジャケットと着用者にに個性を与える事になるでしょう。
ボールポイントの鎧
明るいブルーのライダースジャケットに、ニッケルのボールスタッズをぎっしりと打ち込みました。オーナーはハーレーを駆る女性ライダーです。パンキッシュなやり過ぎ感が素敵です。
本日の修理品
お客様のチャップスジーンズを加工してウエストサイズを拡げました。
チャップス(シャップス)とは、馬に乗るときにパンツの上から履くオーバーパンツのことですが、このチャップスジーンズは、ジーンズの前身頃がダブルになっているデザインで、デニム生地がインシームに挟み込まれ、アウトシームは5セントコンチョで留め付けられています。
身頃は普通のジーンズと同じ作りなので、サイドシームにマチを作り、ウエストサイズを拡げることが出来ます。通常は目立たぬように処理する為にマチにデニム地を用いますが、チャップスジーンズにはあえて本革を使ってデザインポイントにしてみました。マチの裏部分はデニム生地を袋状に縫い付けて処理してあります。ウエストサイズは4センチほどプラスになり、ライダーのお客様が真冬に地厚なシャツをINして着られるだけの余裕が出来ました。
本日の修理品
今回は、マスター私物のベロア×ゴアテックスのブーツです。
10年以上愛用していますが、ロープをかける一番上のフックが飛んでしまいました。ブーツのハトメやフックの打ち直しには専用のジグが必要なので通常メーカーの工場に依頼する事になります。しかしよく見ると、ハトメ穴自体が拡がっており、規格もののパーツで打ち直してもまた同じ亊になりそうです。それではということで銅無垢の打ち抜きリベットを流用してセルフ修理してみました。馬の鞍を製作する職人が使うパーツで、台座の径も大きいのでガッチリ安定します。作業に先立って中性洗剤でブーツを丸洗いしてリフレッシュしました。(実はレザー製品の多くは、後処理をきちんとすれば水洗いする事が可能です。私はウエスタンブーツも時々丸洗いしています)。さて用意したリベットをアンビルとタガネ、ハンマーを使ってしっかりと打ち込み、スタッドの部分をL字に曲げてロープがかかるようにし、リューターで削って成形しました。
このブーツは今年の冬も活躍してくれそうです。
バックペイント
今から10数年前に、BUZZのB-10をお買い上げ頂いて、そのまま当店でバックペイントさせて頂いたものを、お客様が時々着ていらっしゃいます。40年代くらいのヌードのピンナップガールを模写したのだと思います。コットン生地のB-10は今ほどメジャーでなく、ペイントされたものを着ている人などほとんどいなかったのではないでしょうか?絵柄も絵柄だし、ずいぶん注目を集めたようです。経年変化でひび割れが目立ちますが、ジャケット全体のヤレ具合と共に絶妙な雰囲気をかもしだしています。
中国製アメリカブランド
当店で扱う商材は、約1割がアメリカからのインポート品になります。そしてアメリカブランドの多くには、MADE IN CHINAのアイテムがあります。たとえばトニーラマやジャスティンといったアメリカを代表するブーツメーカーのレザーベルトは、今や100%中国製です。実はこれが、皮肉な事に以前アメリカ本土で生産されていた頃よりも品質が向上し、人件費の安さから手の込んだ製品でもお手頃価格なのです。いずれウエスタンブーツの生産も、中国にシフトしていくのでしょう。アメリカはとっくにモノ作りの出来ない国になり、生産現場は崩壊しかかっています。もちろん経済合理性を追求したアメリカ人自身の選択でそうなったわけですが…。
一方で日本のメーカーも、原材料や、コストのかかる加工部分を中国に依存しています。あまり知られていませんが、製品の生産国表示は、最終工程を仕上げて検品をおこなった国のものが付きます。ほとんどの工程を中国で生産し、未完成の状態で輸入し、最後にミシンを入れて検品したMADE IN JAPANの製品もたくさんあります。一般の方が思っている以上に、アパレルメーカーは中国への依存度が高いのです。
かつてアパレルメーカーに籍を置いた私としては、日本のモノ作りの現場が、アメリカのようになってしまわないよう願うばかりです。
本日の修理品
他社さんの製品ですが、裾の上げ直しのご依頼です。既に一度裾上げがされていますが、三つ折りの巻き幅が1,5センチほどもあり(太すぎ!)、糸も、ドレスシャツを縫うときに使うような細いフィラメント糸で、あまりに悲しすぎるので、なんとかしてくれとのご依頼です。
了解いたしました!ついでに長さも少し足りないとのことなので、巻き幅を細くした分、可能な限り丈出しいたしましょう。

糸切りで裾線を解体(画像)→プレス→20番糸で幅8ミリに三巻き→裾線にアタリ付け→完了

結果的に8ミリほど長く仕上げる事も出来、ご納得頂ける仕上がりになりました。
『TWANG』GEORGE STRAIT
大阪のファニー本社に商談に行くたびに、本場のカントリーミュージックCDをたくさんお土産にいただきます。日本では未発売のものや、旧知のシンガーのトリビュート版等、楽しく聴かせてもらっています。そんな中で出色の一枚、ジョージ・ストレイトの最新版『TWANG』。四半世紀にわたってカントリーの世界の頂点に立つ、この人の作品にはまずハズレはありませんが、今回ものびやかで張りのある歌声にグイグイと引き込まれます。日本ではカントリーというだけで、泥臭い、野暮ったい、ダサい等と言って敬遠するひとが多いのは、パブリシティがまずいんでしょう。DEXIE CHICKSもカントリーでは売り辛いのか、ポップスとして扱われていたりします。でも、代表的なシンガーの曲を一度じっくり聴いてもらえば、認識が変わるかもしれません。
追記/MIRANDA LAMBERTのCDも情感たっぷりな歌声で聴き所満載です。
デニムリペアをご依頼になる前に…
デニム製品のリペアについて、電話やメールで料金、納期等お問い合わせをいただくことがありますが、以下の点をあらかじめご了承ください。

*料金について
修理品の状態は千差万別ですので、正確な金額は店頭で見積もってみないとわかりません。目安としては、カケツギで裏打ちする場合は一カ所2500円以上になります。小さな穴でも生地が薄くなっている場合は、お客様の想像以上の範囲を裏打ちするケースが多いです。

*納期について
可能な限り迅速、丁寧を心がけておりますが、人手もスペースも限られた中で対応しておりますので、いつでもすぐに対応出来るわけではありません。また、たて込んでいる時期には、当然ながら自店で販売した商品を優先的に扱います。

*リペアをお受け出来ないケース
洗濯されていない製品の汚れ、ほこりは機械の故障原因となりますので、洗い上がりの状態以外はお受けしかねます。
デニムリペア
当店には、ほぼ毎日何かしら修理品が入庫します。一番多いのがパンツのリペアですが、当店で販売した製品のみならず、サ◯リ◯ォームさまなど業者筋からの依頼や、個人の方からの持ち込み品にも時間の都合がつく限り対応しています。過去に修理した本数は数千本になるかと思います。
今回は、エビスのヘビーオンスジーンズですが、太いシルエットのパンツは股ぐり部分が摩擦で薄くなって破れてしまうものが多いのです。高額ジーンズは、シームの糸にもこだわって綿糸を使っており、かえって強度が足りないので、1000円ジーンズよりほつれやすかったりします。しかしボコ穴になる前にきちんとリペアすれば、かなり寿命を延ばす事が出来ます。
*製品の汚れ、ほこりは機械の故障原因となりますので、必ず洗い上がりの状態でお持ち下さい。
サドルバッグ改サイドバッグ
コロラド・サドラリー社のサドルバッグを、お客さまのトライクのサイドバッグに流用しました。左右二分割し、リアフェンダーのステーに取付け出来るように大幅に造り変えてあります。分厚いヌメ革のバッグの中には、ETCや工具類がおさまっています。革の質感も良く、無骨なトライクのイメージにぴったり合っています。
ネイティブ風ショルダーバッグの試作品をつくってみました。
帆布と、断ち残りの牛革を使ってショルダーバッグをつくってみました。本体は9号帆布を袋状に縫って上にファスナーを付けてあります。サイドポケットは長財布がすっぽり入る大きさにしました。ポケットの蓋につけたコンチョは、鹿の角を輪切りにしたものです。各部のリベットは、馬具用の銅無垢のものを使ってあります。しばらく使ってみて、必要があれば型紙修正し、製品として展開したいと思っています。
タンクカバー完成。
お客様のご依頼でトライクのタンクに付けるセンターカバーをヌメ革で製作。お客様自ら取り付けされ、ご来店になりました。ぴったりとフィットし、カスタムバイクに違和感無くおさまっています。
AAF章縫い付け。
AAFの刺繍パッチ(革のトリミング付き)をB-3の袖に縫い付けています。お客様がお持ちになったこのB-3はショット製で上腕に馬革の当てが無く、機械にセッティングできたので、なんとか縫い付け出来ました。しかし裏面が毛皮の羊革は、何度やっても扱いにくい素材です。