デニム一考

デニム一考
本格的につくり込まれたジーンズを愛用する方達も、製品化されたものは見慣れていても、旧式の織り機(力織機)で織られたデニムの原反を見る機会はほとんどないとおもいます。
画像は工場で裁断される前の織り上げられた原反で、事情があって当店でストックしているものです。
量産品のデニムとのあきらかな違いはその生地幅で、力織機では70センチほどの幅でしか織る事が出来ません。しかも一台の織機で一日に織れる長さは50メートル(一反)ほどと言われています。ローテンションでゆっくりと織られる為に表面にザラザラした凹凸感があらわれます。せまい織り幅の生地をいっぱいまで利用する為、本来は切って捨ててしまう耳の部分も利用されます。
対して現代の高速織機ではスピードは倍以上で、生地幅も150センチ近くになり、生産効率が格段に進歩しています。糸が綺麗に引き揃えられ、織りムラもなく均質に仕上がります。
もちろんデニム本来の味わいが好きな方に支持されるのは前者の方ですが、生産効率の圧倒的な差はそのまま価格に反映される事になるのです。