名著であるため、ご紹介

名著であるため、ご紹介
『笹川良一研究』佐藤誠三郎著 中央公論社

その長い生涯を通じて国内外に様々な話題をふりまいた笹川良一氏の人生を克明に綴った名著です。
私が生まれ育った町には競艇場があり、市にとっては大きな財源ではあったものの、近隣住民にとっては開催期間中の違法駐車や風紀の乱れなどの点で迷惑施設でもありました。笹川氏はその競艇を運営している日本船舶振興会(現・日本財団)の悪名高いドンであり、その当時、TVをつければ毎日CMが流れ、自ら出演して法被姿で「一日一善」「世界は一家、人類皆兄弟」などと叫んでいました。バクチの胴元としてテラ銭を慈善事業に突っ込んで、あちこちで勲章をもらい、いい気になっている爺さん、というのが私も含め、大方の人の見方ではなかったか。
…不覚であった。
今思えば、笹川氏と対立する朝日新聞(狂人・本多勝一ら)をはじめとする外道マスコミのネガティブキャンペーンにすっかり乗せられ、捏造された「怪物」のイメージを抱かされていたのである。
いわく、日本を戦争に引きずり込んだA級戦犯、ファシスト、大物右翼、株の仕手筋、政財界のフィクサー、統一教会の支援者等々、そのおどろおどろしい世評と実際の人物との差がこれほど大きくかけ離れた人も珍しいのではないか。
とことん楽天的で、自らに対する悪評をまったく意に介さなかったこの人の性格も、話に尾ひれがつく一因だったのかもしれない。
実際は、すぐれた先見性と経営感覚をそなえた事業家であり、一方で不採算の事業でも国益にかなうとあれば身銭を切って取り組む愛国者。私生活では、コップ一杯の水も無駄にしない徹底した質素倹約ぶり。国家を憂い、世界を憂い、私財を費やしてたくさんの後進を育て、思想的に対立する相手にすら窮地のときには手をさしのべる侠気を持ち合わせていた男。
本書は笹川良一を礼賛するために書かれたものではない。
著者にそうした意図は感じられず、膨大な資料を精査し、冷静に分析しているのだ。
しかし、いかなる困難もかえりみず全身全霊をかけて信念を貫いた男、爽快な明治生まれの日本人、笹川良一の人生をきちんとたどれば、だれもが感動するに違いない。

それにしても……死ね!本多勝一!
あれっ?もう死んだんだっけ?

*お知らせ
本日23日(火曜日)は祭日のため、営業いたします(AM11:00〜PM8:00)。振替で明日24日(水)はお休みをいただきますので宜しくおねがい申し上げます。