名著であるため、ご紹介

名著であるため、ご紹介
『「余命3ヶ月」のウソ』 近藤誠 ベスト新書

この人のベストセラーになった著書「患者よ、がんと闘うな」を昔読んだ時、ずいぶんな極論だなと驚いたが、新書でも基本的にその主張は変わっていない。
癌は放置するのが最善で、段階が進んで自覚症状が出てきたら緩和ケアをすれば充分であると訴えている。癌の放射線治療の専門医の立場から、現在の主流である早期発見、切除、抗がん剤投与は無意味なばかりか、むしろ弊害の方が多いとする。また最近流行の免疫細胞療法の欺瞞性も厳しく指弾している。
本書は数々の実証データを添えて素人にもわかりやすく説明されており、なかなか説得力がある。先頃女優のアンジェリーナ・ジョリーが(癌になる可能性)の段階で乳房を切除してしまったが、これなど単に身体を傷つけただけの行為だったのかもしれない。
自分が当事者になったら、この方の言う通り無治療で生活の質を保ちつつ、死んでいくのが良いような気がする。
日本の、かなり閉鎖的だろうと思われる医学界にあって、大勢とは異なる主張をし続けるにはそれなりの覚悟も必要であろう。
信念を持った現役医師からの貴重な提言である。