店長日記

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骨董品、走る
お客様の愛車フォードF1。
FORDピックアップトラックの先がけとなった名車でのご来店です。
内外装はオリジナルの1949年式の状態を保ち、エンジンはコルベットのV8に換装されています。
荷台は床面が木製のステーキベッドで、まさに当時の『はたらく車』の雰囲気。
パッチ縫い付け
関東のお客様からご依頼いただいたパッチ縫い付けの続きです。
ナイロンフライトジャケットへパッチ、ネームタグ、階級章、ウイング章を各々取り付けていきます。
上からMA-1Eタイプ(実物)、L-2B(レプリカ/バズリクソンズ)、MA-1Cタイプ(実物)、L-2B(実物)。
パッチ縫い付け
お預かりしたビンテージのナイロンフライトジャケットに沢山のパッチを縫い付けますが、未使用のネームや階級章も含まれます。
これらは一枚の生地に連続して刺繍されており、それを短冊状に粗断ちしたものです。
周りを内側に折り込んでしつけした上で縫い付け作業を行います。
ネームプレート製作・縫い付け
このオレンジ色のフライトジャケットを見て、元色がセージグリーンだと思う人がどれほどいるでしょうか。
これはバズリクソンズが初期に製作したレプリカB-15Dなのです。
品番はM11045で、1993年に販売したモデルです。当時はリアルマッコイズの直営店でも扱っていました。同時販売したMA-1よりわずかにシルバーがかったシェルでしたが、長年の紫外線の影響で日の当たる部分はすっかり色が抜けています。ナイロンは比較的染色堅牢度が強い素材ですが、使用条件によってかなり退色を起こします。50〜60年代の実物フライトジャケットなどにも同様の状態になった物がよく見受けられます。
今回は右胸に刺繍パッチを縫い付け、左胸にはあえてご指定いただいた細幅のネームを製作して取り付けました。
ちなみにB-15DはMA-1のひとつ前の型になりますが、衿の有る無し以外にも袖付け等縫製上の大きな違いがあります。現在バズリクソンズではラインナップしておらず、当面再生産の予定は無いようです。

画像上/右胸に刺繍パッチを縫い付け。ボア衿の影になるところには元色が残っている。

画像中/刻印したネームの縫い付け。肩の部分は特に色が抜けている。

画像下/作業完了。
バックペイント鋭意製作中
B-6のバックペイント、ピンナップガールは仕上がりました。
後は文字と爆弾の描き込みですが、ここで一旦筆を置き、しばらく他の作業に対応します。
来週後半には仕上り予定です。
本日の修理品
10日ほど前にビンテージのブラッドチットを縫い付けたANが早くも修理で戻ってきました。
オーナーが着用し出してすぐに縫い付けのステッチに沿って破れが出たようです。
この革製ブラッドチットが作られたのは日米開戦前ですから70年以上前ということになります。非常にコンディションが良いものですが、すでに一度取り外されたときのステッチ痕があり、革も硬化しているため、二度縫いによってコバが保たなかったのだとおもいます。
破れた部分は身頃に直に接着して修正し、補強のため中央(中華旗と星条旗の下側ラインに沿って)横方向にステッチをかけて縫い留めます。
パッチ縫い付け
今回は新しいパッチを縫い付ける箇所と、付いているパッチを別のジャケットへ付け直す作業も含まれており、合計7着ものジャケットをお送りいただきました。
L-2Bの一着を除き、他は年代物の実物です。
付け間違いの無い様、注意しなければなりません。
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昨日は大阪への日帰り出張であった。
東洋エンタープライズの定期夏物展示会が本町で行われ、いつものように荒本まで足を伸ばしてファニーの本社にも立ち寄る。
ファニーの社員は、当然だが全員関西在住。
来る衆院選では、私が尊敬する国士・西村真悟先生が国政復帰をかけて出馬の予定なので、この機会を逃すわけにはいかない。商談はさっさと済ませ、どこかの宗教政党さながらに、西村元議員への応援を要請した。
そうしたら意外なことに、堺の近くにあるファニーの卸先で西村先生はお買い物をされたらしいという話を聞いた。
それも、なかなか常人では手を出しづらい革製のフリンジジャケットを購入されたとのこと。
フリンジジャケットといえば私の世代では『イージー・ライダー』のデニス・ホッパーだが、もう少し年配の方々にはやっぱりウエスタンのイメージが強いと思われる。
それなら尚更、ファニーの方々には投票先を間違えることがないよう念押ししつつ、大阪を後にしたのであった。
本日のニュースより
民主衰退の象徴=「選挙に追い風」の声も—鳩山氏不出馬

2009年8月の衆院選で政権交代劇の主役を担った民主党の鳩山由紀夫元首相が衆院選不出馬を決めたことは、民主党政権の衰退の象徴といえる。政権を混乱させてきた鳩山氏の不出馬を、党内は衆院選への好材料と受け止めているが、自民党からは冷ややかな声が聞かれた。
(以上引用)

いやぁ〜残念である。
民主党崩壊の象徴として、みじめに大惨敗してくれるのを期待していたので、残念でならない。
しかし、前言をあっさり翻すことで数々の伝説を残してきた男である。
またなにかのはずみで気が変わるかもしれないので、ちょっと期待している。
本日の修理品
続けてチェーンミシンでの裾上げ依頼ですが、少し細目の30番のポリ糸が使われており、微妙な金茶色です。
同じ太さの糸で近い色を探して対応しますが、チェーンミシンに必要なチーズ巻きの糸で同色の物が2本無いため、上下で違う糸色を使用します。
チェ−ンの場合、上糸が表側に来るので、より近い糸を上糸としてセットします。
裏側のチェ−ンを構成するのも実はほとんど上糸で、下糸はその一部に使われるだけです。
本日の修理品
週末にお預かりしていたデニムの修理品に対応していきます。
まずは女性物のブーツカットの裾上げですが、この手の物はほとんどが素材にポリウレタンを含んでおり、非常に扱いにくいと言えます。所謂伸び伸びジーンズで、裁断、縫製の段階でどうしても裾線が横伸びしてしまいます。
当店ではポリウレタン混の商品を扱っていないため、それに合わせた対策もしておりません(裁断する前に伸び止めテープを貼るなどのワザを駆使すれば改善出来るかもしれませんが、伸び伸びジーンズの販売店でもそこまでの対応はしていないのが現状です)。
ハサミを入れた段階で少し横伸びし、ミシンで一周縫うことでまた少し伸びてしまいます。それほど神経質な人でなければ気にならないレべルですが、元のような状態というわけにはいきません。
そのあたりをご理解いただける場合のみ、お引き受けしています。

画像上/裁断前の状態。裾線は中古加工されている。

画像中/縫い代を残し、カットした状態。裁ち端がわずかに広がっているのがおわかりいただけるだろうか。

画像下/シングルミシンで縫い上げ。出来るだけテンションをかけないように縫うが、裾周りで2センチほど伸びている。最後にアタリをつけて完了。
バックペイント鋭意製作中
先に顔の表情を描き込んでみました。
顔が不細工だとすべてがぶちこわしになるので、もう少し時間をかけて整えていきます。
衣服や髪などは全体のバランスを崩さない程度にサラッと仕上げます。
バックペイント鋭意製作中
下地が乾燥したら、顔や手など細部を下描きし、色を入れていきます。
色の薄い部分から順に着色していきます。

衆院解散、総選挙へ=3年ぶり政権選択—来月4日公示、16日投開票

衆院は16日午後の本会議で解散された。政府はこの後、臨時閣議を開き「12月4日公示、同16日投開票」の衆院選日程を決定する。衆院選は3年4カ月ぶりとなり、初めて与党として国民の審判を受ける民主党が政権を維持するのか、自民、公明両党が政権奪還を果たすかが最大の焦点。既成政党と距離を置く「第三極」の動向もポイントで、躍進すれば政局が流動化し政界再編につながる可能性もある。
(以上引用)

ちょっと意外な急展開だったが、まずは目出たい。
民主党がどれだけ議席を減らすか楽しみなことである。一方で、在野にある西村真悟さんらの国政復帰を強く願う。
バックペイント開始
今日からはB-6のバックペイントに入ります。
ご指定の絵柄は、ランジェリーの女性が膝を屈して寝転んだポーズです。
右側に重心が来ますが、左上のスペースに筆記体の文字を入れてバランスをとります。レザーテープの下のパネルには爆弾も描き込む予定です。
まずは下地のペインティングをおこないます。
パッチ縫い付け
今回もまた遠方からのご依頼で、G-1に16枚ものパッチを縫い付けました。
お送りいただいた時点で、すべてのパッチはボディに接着剤で張り付けられており、その上を縫い留めていく作業になります。
縫製上不都合な位置にかかっているものもあり、少々難がありましたが、なんとかミシンワークでカバーしました。

画像5/前立て下部の刺繍パッチはファスナーテープの留め位置より先に出ており、革が幾重にもなるので縫い留めるのが大変。

画像6/右腕の三つ目の刺繍パッチはほぼ肘の位置で、地縫いミシンでたぐり寄せるようにして縫うには限界の位置。これより先だと靴の縫製に使うような特殊ミシン(八方ミシン)が必要になる。
再訪!殉国七士廟
10月2日の訪問から早一ヶ月以上が過ぎたが、昨日、東條大将ら殉国七士が眠る三ケ根山への登頂を敢行した。
天気が心配されたのだが、雨に降られることも無く、前回同様の有意義な登山行となった。
前回は気楽な軽装で参加してしまったが、今回は装備に抜かりは無く、かなりのハイペースでサクサクと頂上まで登りつめた。道中、誰とも出会わなかったが、登山道はかなり踏みしめられた跡があり、平日でなければそれなりに人も来ているようだ(慰霊で来る人は一握りだろうが…)。
慰霊碑の案内人、Iさんとも廟の前で再会し、慰霊の後、さまざまなお話を聴かせていただいた。
当日発表された石原新党の話からはじまり、遡って戦後政治の裏面史やら、国に代わって遺骨収集に関わっている民間の有志の方々のことなど、なかなか知ることの出来ない話も多く、話題は尽きない。
あっという間に時間が経ち、さすがに11月ともなると日が落ちるのも早いので、4時前には案内所を辞して下山道へ向かい、無事に帰還。
時間の都合がつけば、年内にもう一度訪れてみたい。
三ケ根山は山頂へ至るルートが多数あるので、次回は別ルートを辿ってみるのも良いかもしれない。

画像1/出発点のJR半田駅。歴史有る建物だが、増築部分が残念な新建材だったりして雰囲気をブチ壊している。前回利用時にいた駅員は、乗客を客とも思わないような不遜な野郎だったが、今回の駅員は愛想の良いおじさんだった。

画像2/三ケ根山頂上より東側を臨む。この山の木々は紅葉は期待出来ないみたい。

画像3/山頂付近の三角点。非常にわかりにくく、見つけられなかったのでIさんにご案内いただいた。近くにムカゴ(地上に自生する山芋)が生えていて、口に入れてみたところ、意外に美味であった。野いちごも見つけて食べてみたが、これはイマイチ。

画像4/頂上から殉国七士廟までの道程にある、廃墟マニアにはたまらないホテルの残骸。ガラスというガラスがすべて割られている。なぜか手前に一脚イスが置かれているのがシュール。

画像5/先導役のHさん。元◯◯県警◯察官。

画像6/慰霊碑の案内人Iさん。本職さながらの所作で祈りを捧げる姿には圧倒される。
パッチ縫い付け
引き続きB-10の各部にお預かりしたパッチを縫い付けていきます。

画像1/レザークラフトのCBI章の縫い付け。このパッチは細部まで美しく加工されていますが、コバの出代がほとんどなく、押さえがねがかからないので非常に困難な作業です。段差をクリアできる押さえがねというのもありますが、凹凸にぴったり合わないと糸飛びしてしまい、用をなさないので片押さえで作業しています。

画像3/エポーレットへの階級章の縫い付け。これも縫い代が何重にもなり、難度が高い作業です。きれいな仕上がりが保証できないので、基本的にはお受けしていません。ステッチ目が不揃いになる可能性があることをご了解いただいた上で対応させていただきました。

画像5、6/先日製作したネームプレート、第14空軍章、375隊パッチも縫い付けて完成。
ネームプレート鋭意製作中
以前も何度かご利用いただいた関東のお客様からの依頼で、B-10をフルパッチ仕様にしていきます。
まずは指定の文字でネームを製作します。
B-10がサイズ36で前身幅が狭いため、ネームプレートは10センチほどの幅になるよう製作します。今回は文字数が多いため、出来るだけ字間をつめて刻印していきます。
第8空章ペイント完成
第8空章のペイントは仕上げ段階です。

画像上/羽根のディテールを細筆で描き込み。。

画像中/全体のバランスを見ながら陰影を入れていきます。

画像下/完成。
ガルシアの首
最近70年代の映画をあらためて観直すことが多い。
映画を観始めた頃の作品は、やはり意識の底にキッチリ刻印され、ファッションにしろ、音楽にしろ、車にしろ、その後の自分の嗜好に少なからず影響をあたえているのだとつくづく思う。
サム・ペキンパー監督はスローモーションでの暴力描写で一世を風靡した監督で、他にも『ワイルドバンチ』や『ゲッタウェイ』、『ビリー・ザ・キッド』などの傑作を世に送り出している。
主演のウォーレン・オーツはスター俳優のような華のない、地味なオジさんだが、演技は確かである。メキシコを舞台にした現代劇だが、ほとんど西部劇のようなテイストの作品だ。
メキシコの大地主が、自分の娘を孕ませたガルシアという男の首に賞金をかける。生き死には問わない。ガルシアがすでに事故で死んでいることをたまたま知った酒場のピアノ弾き(オーツ)は愛人とともにガルシアの墓をあばき、首を持ち帰って大金を手に入れようと画策する。ボロボロの62年式インパラのコンバーチブルで墓破りの旅に出るが、その過程で邪魔が入り、愛人は命を落とす。命懸けでガルシアの首は手に入れたものの、自責の念にかられ、人生の目的を無くしたピアノ弾きは、すべてを清算するために拳銃一丁で大地主のもとに乗り込んでいく。
人の命など紙のように軽い、埃だらけの荒れ地が続くメキシコを舞台にした救いのない物語り。
サム・ペキンパーの描く男の哀愁は見事である。
しかし、この映画は女性には全く評価されないにちがいない。女性の視点から共感出来るところはほとんど無いと思われる。この映画を観てふんふんと頷くような女性は、よほど人生の悲哀に通じているか、オツムが足りないかのどちらかであろう。
ちょい役で、ペキンパー映画の常連であるカントリーシンガーのクリス・クリストファーソンも出演している。この人の作った「ミー&ボビーマギー」は私の最も好きなカントリーソングである。それから冒頭の酒場のシーンで、ゴッドファーザー3作を通じて用心棒アル・ネリを演じたリチャード・ブライトが一瞬だけ(2秒くらい)出演していたのを見逃さなかった。クレジットもされておらず、ほとんどエキストラだったが…。