店長日記

6508

トートバッグのリメイク
店頭で販売しているココペリのトートバッグ。
大と小の二種類あって、小では小さ過ぎたので大をお買い上げいただきました。
しばらくお使い頂いた上で、若干大きいということでしたので、お預かりしてリメイクしました。

画像1/ビフォー。帆布製のシンプルなトートバッグ。最初からハンドルにココペリドールが付いている。店頭価格3990円。

画像2/裏返した状態。裏地は付いていない。

画像3/口の部分の三つ折りを解き、2センチ縫い込む。底に向かって絞っていく(底部分の絞りは0)。

画像4/アフター。口部分の周囲で(2×4)8センチ小さく仕上がっている。
キャップのリメイク
バズリクソンズのヘリンボーンキャップをベースに刺繍パッチを縫い付けます。
これは北関東のお客様からのオファーです。
本日の修理品
シュガーケーンの砂糖黍ジーンズ、SC40401。
この綿と砂糖黍繊維をミックスして織り上げられたデニムは、独特のクッキリしたタテ落ち感があります。
修理箇所は大きくパンクしたセンターシームと、穴のあいた右膝です。
とりあえずシームの修理からですが、巻き伏せ縫いされていた縫い代が弱くなっているので、補強テープを挟み込んだ上で再縫製します。

画像1、2/ビフォー

画像3、4/アフター
パッチ縫い付け
今回は関東のお客様からの依頼。
無地のタンカースジャケットにウイング章とキングコングカンパニーのパッチを取り付け、「タクシードライバー」仕様とします。
ロバート・デ・ニーロ主演のこの映画は、今だにいろいろな媒体で取り上げられ、人気が衰えないようです。主人公ビックルが海兵隊上がりの設定で、実際にはベトナム戦争には支給されていないこのタンカースを着用して登場します。タクシー会社の面接官はジョー・スピネル(ゴッド・ファーザーのヒットマン役)、ジョディ・フォスターが未成年のコールガールを演じ、ハーベイ・カイテルがポン引き役をやっていました。監督のスコセッシもワンシーン出演しています。ヒロイン役はシビル・シェパードでしたが、つい先日BS放送のドラマに出ているのを視て、この美しかった女優さんもすっかり小太りのおばさんになってしまっていて、あらためて年月の経過(1976年作品)を感じたところです。
ラフウエア・A-9フライングトラウザーズ
先日、西三河のお客様から、展示用にとお預かりした珍品。
タイプA-9というフライト用のトラウザーズで、B-10とセットで1943年に生産された本物です。
B-10同様表地はコットンツイル、裏側は全面アルパカ/ウールパイルで裏打ちされた防寒仕様。新品同様でボタン類も欠品がなく、ファスターの革製のプルタブもそのまま残っています。
ここまでコンディションが良く、当時の状態をそのまま残したミリタリーウエアは中々お目にかかれません。
大阪出張
本日は定例の大阪日帰り出張。
午前中に近鉄荒本駅にあるファニー本社を訪ね、午後からは本町で行われる東洋エンタープライズの春夏もの展示会をまわり、夜帰宅。

画像1/高い位置に設置された馬の置物が目印のファニー本社。馬の下に「止まれ」の道路標識があるのがなんとなくシュールな雰囲気を醸し出す。

画像2/2階のホールセール場のベルトコーナー。トニーラマ等のインポートブランドと、ファニーの工場で生産されたオリジナルが半々。

画像3/インポートジュエリーのコーナーでは値頃感のあるホピのペンダントヘッドをピックアップ。

画像4/奥はウエスタンブーツのコーナー。手前のソファーで、いつもおいしいコーヒーをいただいている。

画像5/アメリカンウエスト社のバッグが大量に入荷していた。

画像6/最近力を入れている「カッパーキング」のジーンズコーナー。ウエアハウスによる復刻ブランドで、ファニーが販売窓口になっている。

このあと訪ねた東洋の展示会は(いつもながら)撮影禁止なので画像はありません。
ビュイック始末記(車高調整編その弐)
今日ガソリンスタンドで給油ついでに、モンローのリアショックに空気を送り込んでわずかに車高を上げてやった。
以前のリアショックはどこからか空気が漏れていて、定期的に空気を入れていないと勝手にローダウンになってしまったが、昨年の車検で取り付けた黒塗りのモンローはもちろん新品だからそんなことはない。それでも数ヶ月もすると徐々に圧力が下がってくるので、タイヤとフェンダーの間隔が狭くなってくると、コンプレッサーで空気を送って持ち上げてやっている。
トランクを開け、ガソリンタンクの横に付いているバルブから空気を入れてやると、重い車体が瞬時に持ち上がって若干前下がりのスタイルになる。
4月にキャブ調整して以来、機関も好調で、47年前の車両は安定した状態を保っている。
本日の修理品
お預かりしたデニムの修理品は、最後に裾のパンクを補修して再度チェーンで巻き直します。
ここで禁じ手の応急修理(破れ目を接着剤で固定!)がされているのが見つかっていたので、解体と接着剤の除去に手間取っておりました。

画像1/裾の擦り切れ部分をカケツギするために解体。折り返し部分の解れ止めで接着剤を使用しており、ヘラで除去。

画像2/裏にテープを当てて、破れを補修。

画像3/チェーンステッチで再仕上げして完了。
本日の修理品
続いては、芯糸が抜けてボタンが掛からない状態のボタンホールをリペアします。

画像1/修理前。5つのボタンホールがすべて解れている。

画像2、3/修理後。タタキの跡は残りますが、しっかりボタンが掛かるようになります。
本日の修理品
ボロボロ状態のデニムの修理、まずは両膝のリペアから。
過去に一度タタキで修理されていますが、裏張りの範囲が狭いため、その上下がパンクしています。力のかかる膝は穴の部分だけではなく、かなり広範囲に当て布しないと、すぐにこうなってしまいます。
作業はいつものようにサイドシームを切り開き、当て布を挟んで補修した後、サイドを閉じて完了です。

画像1/右膝修理前。穴の下がタタキ修理の跡。

画像2/左膝修理前。

画像3/左右共、広い範囲で当て布します。

画像4、5/修理後。
仕事の合間にワークショップ
先日、かなり突き詰めて精度を出したつもりの革漉き機をさっそく使用して、長財布の各パーツを漉く作業をおこなった。
用意したのはタンニン鞣しの牛革で、型紙に合わせて裁断したパーツの状態で漉いていく。内部の仕切りやコインポケットなどはギリギリまで薄く漉いた上で使用する。本体はカービングを入れるため、ある程度厚みも必要で、縫い合わせ部分のみ漉き取っておくこととした。
張りのあるタンニン革は、漉きの作業によって変形する事も無く、扱いやすい。

画像1/漉き上がった各パーツ。

画像2/今回使用した型紙は2004年頃に製作したもの。左は当時製作した長財布。
welcome!
当店の西側にある宮本町5丁目交差点の南西角はころころとテナントが変わり、最後の中古品買い取り業者さんが4月頃に原状回復して出て行った後は、セブンイレブンのオーナー募集の看板が立てられていた。
やっと動きがあり、地ならししているなと思ったらあっというまに建物が建ち上がっていた。
歩いて行ける距離にコンビニが出来ると便利である。
あまり近接してるといろいろうっとおしいが、交差点の反対側で丁度良い距離感なのが有り難い。
本日の修理品
西三河のお客様からお預かりした修理品。
左右の膝には大穴があき、ボタンホールは5つともすべて芯糸が抜けてボタンが掛からない状態。
裾も擦り切れてパンクしています。
これを全面的にリペアして実用レベルに復活させます。
私の道具達
レザークラフトの時に使用する自家製のタップオフ(TAP OFF)。
タップオフとは、レザーカービングのときに使用する押し型のこと。厚い革に自分でデザインした花や葉の形をおおまかに彫り込み、周りをカットして乾燥させ、耐水塗料で塗り固めたもの。どう使うかといえば、水分を含ませたカービング用の革を石盤の上に置き、適当な位置にこのタップオフを置いて上から金槌で叩くと、そのシルエットが革に刻印される。あとはそれを目安にスーベルナイフを入れ、花を中心に蔓や葉が回り込むように配置されるシェリダンカービングを彫り込んでいくのだ。
いくつかのパターンを製作したが、もう何年も全く出番が無かった。カービングは趣味の範囲で考えており、自分の身の回りの物をつくる程度だが、なかなかまとまった時間も取れないので遠ざかっている。
今回は個人的にレザークラフトの手順を教える機会があったので、久しぶりにツールボックスから出して使ってみた。

画像3/タップオフで型をつけ、革の水分が残っているうちに彫り込んでいく。

画像4/昔つくったトレーとタップオフ。
パッチ縫い付け
今回のベースは比較的新しいアルファー社のMA-1で、パッチ類とともに関東のお客様からの持ち込みです。
パッチの内3枚は裏にベルクロが縫い付けられており、本来はボディ側に対のベルクロを縫い付けて脱着出来るようにしますが、ご要望により直に縫い付けします。
ミシン糸購入
チェーンステッチの裾上げに使用する綿糸が残り少なくなってきたため、繊維商社に発注。
裾上げ用の糸は取引メーカーからの提供があるわけではなく、独自に調達しております。
今まで使ってきたのと同じ色番の黄色とオレンジで、太さも同じ20番手。一巻が5000メーターあり、形状が似ているため、「チーズ巻き」と呼ばれています(画像右にあるのが一般的な家庭用ミシン糸)。
本日の修理品
右膝がパックリ一直線に裂けた状態の修理品。
お客様はダメ元でお持ちになりましたが、なんとか修理可能と判断し、裏打ちする事になりました。穴の周辺の生地も薄くなっているので、タテに40センチ程当て布が必要です。

画像1、2/膝が端から端まで裂けた状態。

画像3/力のかかる部分だけに裏張りはかなり広範囲にしないと保ちません。

画像4/作業完了。穴の部分以外は目立たぬように間隔をあけてタタいてあります。

デニム製品のリペアについて、電話やメールで料金、納期等お問い合わせをいただくことがありますが、以下の点をあらかじめご了承ください。

*料金について
修理品の状態は千差万別ですので、正確な金額は店頭で見積もってみないとわかりません。ご呈示した見積もり金額でご了解いただいてから作業に入ります。

*納期について
可能な限り迅速、丁寧を心がけておりますが、人手もスペースも限られた中で対応しておりますので、いつでもすぐに対応出来るわけではありません。また、たて込んでいる時期には、当然ながら自店で販売した商品を優先的に扱います。

*リペアをお受け出来ないケース
洗濯されていない製品の汚れ、ほこりは機械の故障原因となりますので、洗い上がりの状態以外はお受けしかねます。
私の道具達
先日、懇意にしているレザー職人、エル・パソの保田氏の工房にお邪魔したときの事、たまたま作品づくりの過程で革漉き機を使用中で、そのあまりの切れ味に驚いた。
NIPPI製(特許型)で当店と同じ機種なのだが、刃先の研磨や押えガネのコンマ数ミリの微調整も完璧で、粘りのある革も全く抵抗感無く、大根の皮でも剥くようにサクサクと漉いていく。
聞けば毎日のように漉き刃の研磨を欠かさないらしい。
…さすがは本職である。
当店のように二次加工や修理でちょろっと使い、稼働率が低いので油も注さず、時間がある時にしかメンテナンスしないのとは姿勢がちがう。かなり触発されたので、気分が乗っているうちに、究極の切れ味に挑戦してみようと思い立った。
何年もやっていなかった砥石の目立てをした上で、いつもよりじっくり時間をかけて刃先を研いでみた。
とりあえず刃先は指で触れれば切れる程の仕上りになった。

画像1/NIPPI社の革漉き機。国内でのトップブランド。というよりほぼ寡占状態で競合するメーカーが無い。本体のみで購入し、無垢材のテーブルはイエローガレージさんからいただいたものを流用。モーターは工業用ミシンに付いていた日立製を取り付けた。クラッチは無し。

画像2/漉き刃に直接当てる棒砥石(左)と砥石に詰まった鉄粉を取り除くドレッサー。

画像3/動力を入れ、ドラム形の漉き刃が回転している状態で、調整棒の摘みを左に回すと、内部にセットされた砥石が漉き刃に接近する。

画像4/砥石と漉き刃が接触して火花を散らしている状態。この後、刃先の内側に棒砥石を当てて研磨する。

革漉きの性能は各部のクリアランス調整も重要で、それは革の性質に合わせて都度調節する。
A-2カスタム完成
出来上がったパッチと製作済みのネーム、つくり置きしてあった第8空章それぞれに下穴を開け、ラフウェアのA-2に縫い付けて完成です。
A-2カスタム進行中
細部まで描き込み、最後にハイライトで調子を付けてメンフィスベル(324BOMB)のパッチは完成。
この後、製作済みの第8空章とネームプレートとともに縫い付けを行います。