2013年6月

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ナスカン交換
先日サンセットビルフォードをお買い上げいただいたお客様に、その場で真鍮のドロップハンドルを取り付けてお渡ししました。
ドロップハンドルはシルバー鍍金仕上げが標準ですが、当店では真鍮製(同価格600円)もご用意しております。
今回はそれに合わせてワレットレーンを購入し、金具も真鍮で統一したいということで、社外品の真鍮キーホルダーを流用して取り付けました。

画像1/ファニーの8本編みワレットレーンと社外品の(通称釣り針)キーホルダー。

画像2/このワレットレーンは中に太い芯糸が通っており、編み込みの段階でナスカンの付けを縛り付けている構造。分解不可なので、ナスカンは根本でカットしてしまう。

画像3/ナスカンの根本を引き抜きながら真鍮キーホルダーの丸カンを差し込んでカシメる。反対側も同様にドロップハンドルに留める小さいナスカンを取り付けて完了。

画像4/大きい方のナスカンはベルトループまたはベルト本体に固定して使用する。
本日の修理品/ウエスタンブーツ(外部委託)
修理品はルケーシーのウエスタンブーツで、後ろタング(踵部分から上に伸びた持ち出し)を縫い付けているステッチがほつれてきている状態でした。
放置するといずれその部分が開いてしまうので、早めにステッチのかけ直しをということでお預かりしました。
こういう奥まった箇所を縫うには、八方ミシンという靴や鞄の縫製に使用する特殊ミシンが必要です。下糸を収めたボビンの先端が長く伸び、平台のミシンでは縫製不可能な所も縫うことが出来ます。
今回はファニーの指定工場へ依頼し、二週間程で仕上がってきました。

画像3/ステッチをかけ直して仕上がった状態。三本のステッチの内二本は縫い直したものだが、ほとんど補修跡がわからない。
大阪出張…つづき
昨日の大阪日帰り出張では、ファニー本社を訪ねたその足で本町で開催される東洋エンタープライズの秋冬展示会をのぞく予定だったが、少し寄り道した。
というのも本来の展示会開催日は本日(12日)で、当方の都合で開催前日にお邪魔することになっており、サンプルを陳列し終わった時間帯にお訪ねする予定だったのだが、少し時間が空いてしまったのだ。そこで本町から船場センタービル沿いに歩いて数分の所にある、かつて自分が勤めていたアパレルメーカーの周辺をうろうろして時間をつぶすことにした。

画像1/裏通りから眺める本社全景。当時と全く変わらぬリッパな外観。裏手の社員の通用門にはガードマンが常駐。

画像2、3/通りに面した正面側。当時と大きく変わったのは、各フロアを顧客に直接自社ブランドを販売するスタイルで開放していること。私が勤めていた頃は小売店を相手にした一次卸しがほとんどで、年数回の社販以外で一般の人が出入りすることはなかった。
もうこの本社には当時の同僚はほとんど残っていない(と思う)。
大阪出張
本日、ショップの休業日を利用しての大阪日帰り出張。
まずはいつものように近鉄線の荒本にあるファニー本社にお邪魔して現物商品をピックアップする。今回はインポート品の雑貨を中心にセレクト。

画像1/ファニー本社全景。本社機能と業者向けのホールセール場を兼ねている。レザー製品の工場は少し離れたところにある。

画像2/社用車のマセラッティ。これで送迎してもらうと、おそろしいような加速感で駅までの距離があっという間。社用車はほぼ会長の趣味で選んでいると思われる。昔はキャデラックのセダンだった。

画像3/今回目を引いたのは間もなく公開されるリメイク版「ローン・レンジャー」で主人公が使用したのと同じバックル。
エド・ボーレンの製作によるもので世界80個限定でシリアルナンバー入り。日本には6個入荷したとのこと。
価格は780000円也!
緑化計画進行中
ランバーデッキの片隅に大きめの木製プランターを置き、プチトマトを栽培中。
本当はもっと間隔を空けて植えなければいけないみたいだが、適当に植えたタネが一斉に芽を出し、密生状態になっている。
そろそろ間引きが必要かも…。
ピンポイントでストレッチ…インディアンモカシン
先日お買い上げいただいたファニーのインディアンモカシン(スクー・サンダル)。
親指の先があたって歩くと痛いということで、ストレッチャーを使ってサイズを拡げます。
革で足をくるみ込むように縫製されたなモカシンは、着用することで足のかたちに沿ってなじんでくるのですが、先端があたるようでは辛いので、手を加えてやります。
革の内側に湿り気をあたえた上で、ゆっくり時間をかけ、親指が当たる部分をピンポイントで伸ばしてやります。

画像1/指のあたる部分をマーキング。

画像2/片方につき一日かけてゆっくり伸ばしていく。

画像3/右側がストレッチャーを入れて伸ばしている状態。
パッチ縫い付け
リーバイス・セカンドジャケットの袖無しのようなデザインのライダースベスト。
チームカラーの刺繍パッチの縫い付けを承りました。
内側には革の見返しが付き、キュプラの裏地と切り替えになっています。縫製が粗く、この裏地が袖に向かってかなり引っ張り上げられるように縫い付けられ、斜め皺が目立ちます。
裏に抜けるステッチ部分で裏地がタックにならないよう、注意しながら縫い付けします。
いただきもの
知多半島の先端、師崎港から名鉄フェリーで10分ほどのところにある篠島は、フグやタコ、大アサリなどが名産だが、もっとも盛んなのがシラス漁。
当店のお客様で、島でシラスの加工販売を家業としておられる方に、時々茹で上がったばかりの美味しいシラス(ちりめんじゃこ)をおみやげにいただくことがある。今回はモニターも兼ねており、新商品の減塩バージョン(A)と、従来の塩味の効いたバージョンの二袋をいただいたので、食べ分けてみて感想をお伝えする。伝統的な製法は変わらずだが、やはり時代に沿って健康志向も考慮した商品展開も考えておられるらしい。…といってもモニター云々は当方に余計な気を使わせないためのご配慮かもしれないが。
そのままで食べ比べたり、具材として使ってみたりした結果はきちんとお伝えしようと思っている。
外構工事進行中
本格的な夏の到来の前に、業務用エアコンの室外機に日除けのカバーをDIYで取り付けた。
直射日光が当たる位置のため、冷却効率が下がってパワーが落ちたり、余分に電力を消費するのを少しでも防ぐために必要な対策なのだ。
先日鍼灸の治療院を経営するお客様にツボ刺激をしてもらい、同時に気を送ってもらった(ご本人いわく)。おかげで五十肩の症状が幾分やわらいだ(ような気がする)ので、一気に作業に取りかかる。
材料はあり合わせだが、やはり店舗の一部ということで統一感のある外観に仕上げなければならない。

画像上/横木になる2×4材はあらたに購入した。その他は余り物。

画像中/室外機の上にステーで固定するが、隙間に空気が流れるようにする。表面にはキシラデコールを塗る。

画像下/若干片流れに取り付けて完成。
お客様のエルカミーノ(と、オールウェイズ・ラブ・ユー)
最終型1987年式のシヴォレー・エルカミーノ。
外装はオリジナルのままで、アルミ製のモールもすべて残っている状態。ストックのエンジンは305(5000CC)のインジェクションだったものを、あえてエーデルブロックのキャブレターに換装したそうです。そういえばガレージ井口さんも、この年代のインジェクションは調子の悪いものが多くて、キャブレターに換えてしまうケースが多いと言っていました。車体はやや縮小されたモデルですが、角張っていてずいぶん大柄な印象。
映画『ボディーガード』でケビン・コスナーが乗っていたのがまさしくこの車。デブデブになる前のホイットニー・ヒューストンが歌ったオールウェイズ・ラブ・ユーが爆発的にヒットした。
ところでこの曲、この映画のためにつくられたテーマソングだと思っている人が多いのだが、原曲はカントリーで、70年代にドリー・パートンがリリースしたもの。個人的にはじっくり語りかけるように歌うドリーのオリジナルのほうがずっと良いと思っている。
そういえば同時期にドリーが発表したJOLINE(ジョリーン)は、私が最も好きな曲のひとつだが、こちらもなぜかカバーしたオリビア・ニュートン・ジョン(イルカおばさん)の曲だと思っている人が多い。
五十肩
三月末あたりに突然利き腕の肩が痛み出し、腕を前後に上げられなくなってしまった。
疲れによるものかと思ってしばらく放置していたが、治癒しないので整形外科に検査に行った。
レントゲンを撮ってもらうと骨や関節に異常は無く、「五十肩ですね」とあっさり診断が下された。鎮痛剤と湿布薬を処方されたが、根本的な治療法はなく、自然治癒に期待するしかないようだ。症状が良くなるまでに一年以上かかることもあるそうである。…あ〜あ。
今でも無理に動かすと激痛が走るので、かなり動作が制限されている。手でプーリーを回し続けるような細かいミシン作業はかなりキツい。
そんな中、当店のお客様で名古屋で鍼灸の治療院を経営している方がご来店になったのでその話をしたら、ちょっと手を見せてと言われ、ボールペンで指先各所をチクチクとつつき出した。なにやらツボを確認しているらしい。バッグから中央に短い針が付いた丸い絆創膏を取り出してツボの位置にペタペタと貼っていき、これで痛みが緩和するのだという。なんでも高麗手指鍼治療と言うらしいが、高麗と付くだけでインチキくさい感じがしないでもない(逆プラシーボ?)。
でも、せっかくだし、しばらくこのまま様子を観てみようと思う。
さて、今週も見ただけで肩がこりそうな細かい仕事をいただいているので、順次片付けていく。
名著であるため、ご紹介
『若松孝二・俺は手を汚す』 若松孝二 河出書房新社

昨年交通事故で亡くなった若松孝二監督が自身について80年代に語ったものだが、急死に伴ってか昨年末再出版されたもの。
私が学生時代、新左翼系の小劇場でこの人の講演を聴いたのがこの本が書かれた少し後くらいで、内容もかなり重複し、口語の文章なので、なんだか追体験したような気分になった。
講演会では当時アラブにいた重信房子さんら日本赤軍のメンバーと寝食を共にしてドキュメンタリーにまとめた「赤軍PFLP」という映画の上映もおこなわれた(若松さんの弟子で撮影を行った足立正生は後に赤軍正式メンバーとなり、国際指名手配されている)。若松監督自身は共産主義思想家ではなく、反権力というのが人生のテーマで、それを映像で表現し続けた生涯であったのだと思う。
ヤクザ上がりでピンク映画の世界を経て、売れっ子映画監督として一世を風靡した鬼才。
気が短く、暴力沙汰の絶えなかった無頼の映画人が、綺麗ごとばかりではない半生を振り返ってとつとつと語っている。
本日の修理品
今回はチェーンステッチでの裾上げ依頼ですが、製品は古いLeeの200系です。
もともとシングルステッチの裾を、7センチ程詰めてチェーンミシンで裾上げします。
Leeのジーンズの裾の三ツ巻き幅は広く、1,2センチ程のところにステッチがきています。当店のミシンはリーバイス系に準じて8ミリ位にステッチの押さえがくるようにガイドを固定しているため、そのままでは広幅に対応出来ません。そのため、一旦地縫いミシンで躾け縫いをして、ガイドを外してフリーにした状態のチェーンミシンで裾上げをおこないました。

画像1/もともとシングルステッチで裾上げされているLee。

画像2/細糸を使い、地縫いミシンで広幅に縫い上げる。

画像3/チェーンミシンで裾上げ。

画像4/躾け糸を抜いて作業完了。
本日の修理品
リーバイスの501、66と呼ばれるビンテージ品の修理をおこないます。
股ぐりがパンクしかかっており、その周辺の生地も薄くなって穴が空いています。この部分は接ぎ目に合わせて別々の生地で当て布をします。平面ではないので一枚の布でざっくりと裏張りするわけにはいかないのです。
50年近く前の生地はすでに耐用年数を越えて弱りきっているので広い範囲で当て布をし、生地の目に沿ってタタいていきます。

画像1/耳付きのリーバイス501と修理用のデニム生地。古着商だった頃はこの年代のUSED品もたくさん販売しました。20年以上前はコンディションの良い物でも5800円でした。その後高騰しましたが…。

画像2/前後共股の周囲がパンク寸前。

画像3/前後左右別布で裏張り。

画像4、5/修理完了。

デニム製品のリペアについて、電話やメールで料金、納期等お問い合わせをいただくことがありますが、以下の点をあらかじめご了承ください。

*料金について
修理品の状態は千差万別ですので、正確な金額は店頭で見積もってみないとわかりません。ご呈示した見積もり金額でご了解いただいてから作業に入ります。

*納期について
可能な限り迅速、丁寧を心がけておりますが、人手もスペースも限られた中で対応しておりますので、いつでもすぐに対応出来るわけではありません。また、たて込んでいる時期には、当然ながら自店で販売した商品を優先的に扱います。

*リペアをお受け出来ないケース
洗濯されていない製品の汚れ、ほこりは機械の故障原因となりますので、洗い上がりの状態以外はお受けしかねます。