名著であるため、ご紹介

名著であるため、ご紹介
『超常現象の科学 なぜ人は幽霊が見えるのか』リチャード・ワイズマン著 文芸春秋

題名だけからすると、もしかしたら超常現象あるいは超常能力を肯定的にとらえた本かしら?…とおもわれるかもしれないが、さにあらず。
いつの世も日当りの悪いところに蔓延るカビのようなオカルト(超能力、占い、心霊現象)一切合切を科学者の視点から徹底的に否定し尽くした名著である。
筆者のワイズマン博士は、あらゆるオカルト現象の裏には脳の誤作動や、人間特有の心理メカニズムが働いていることをわかりやすく解説する。この本で特徴的なのは、誰でも超常現象と思い込みそうな事柄が、クイズ形式で各章に添えられている点だ(もちろん反証のためである)。オカルトを商売ネタとする詐欺師たちに強烈なとどめを刺し、同時に読み物としても楽しく仕上がっている。
自称霊能者、自称超能力者というのは大多数がウソつきで、一部が思い込みの激しい精神病質者である。このどっちかしかなく、「本物」など存在しないのだ。
博士のバックアップの一人として、当代一流のマジシャンにして究極の懐疑派・超能力者バスターのジェームズ・ランディなども登場する。
私のようなオカルト懐疑論者というか否定論者はふんふんと納得しながら読み下してしまうだけだが、こういった本はまだ社会経験の浅いピュアな10代の方が読めば目が開かれ、充分な予防効果が得られると思う。オカルトに傾倒すればオウム信者のように人生を棒に振ることも少なくなく(理系の最高学府を出た人間までいた)、これらに対してユルいというか寛容すぎる社会(霊能詐欺師がメインパーソナリティーでTV番組がつくられるようじゃね!)ではイカンと常々思っている。