スイッチ・オン

スイッチ・オン
かつてのアルバイトスタッフで、今だに家族を含めた付き合いもあるS君は、平素はとってもにこやかで人当たりが良い。
しかし極端に気が短いところがあり、何かの拍子にスイッチが入るともう抑制が利かない性格なのだ。
40歳過ぎていながら、路上のトラブルで大立ち回りすることもしばしばである。昨日も突然、私の携帯に電話がかかってきたのだが、出先で車の大渋滞に巻き込まれ、それが地方都市で行われたあるイベントがらみであったようで、要は主宰する市の宣伝不足もあってきちんと告知が行き渡らず、あちこち通行止めして大渋滞を引き起こすことになったようだ。さらに誘導もわかりやすくおこなわれておらず、袋小路に迷い込んでしまう車もあったらしい。炎天下で頭がヒートアップしたS君はキレまくり、なんと市の担当者をその場に呼びつけ、ついには警察が出動するはめになったのであった。
わざわざ私に電話してきたのは、これから市役所と喧嘩をするつもりだが、私の親族がそこで長く首長をしていた事を知っているので、一応気を使って連絡をくれたのだった。こういうところで妙に几帳面なのがS君らしいところであろう。
もう親族は引退をしており、行政には全く関わりがないからどうぞどうぞと言って電話を切ったが、さて、どうなることであろうか。