ザ・ゲーム

ザ・ゲーム
後半で「ギャンブルは夢を与えるものではなく、夢を奪うもの」というセリフが出てくるが、この映画のテーマがこの一言に集約されている。
豪華なキャストによるオムニバス映画で、日本では劇場未公開だったようだが、最近DVD化されたばかりのものをレンタルした。
ギャンブル依存症でカジノに入り浸り、娘の学資までスッてしまう小説家(キム・ベイシンガー)、カジノで働きながら、再起を夢見るマジシャン(ダニー・デヴィート)、ノミ屋に多額の借金を抱え、バスケット選手の弟に八百長試合をやらせる配管工(フォレスト・ウィッテカー)を中心に物語りは展開する。
それぞれ人生の崖っぷちに立った3人の命運は、バスケットの選手権試合の勝敗にかかっている。弟の選手生命を危うくする八百長を強いられる配管工の兄。八百長の情報を得て、全ての資産をそれに賭ける小説家とマジシャン。しかし、やはり事は思い通りには運ばない。マジシャンと配管工は結局命を落とし、小説家は生活が破綻したものの、そのマジシャンを題材にした小説でかろうじて復活を遂げる。
小説家の夫役のレイ・リオッタが意外にもまじめな人格者を演じている。悪辣なノミ屋の代貸しを演じたティム・ロスははまり役。取り立て屋の恋人を演じるカーラ・グギノは爽やかでひたむきな感じが良い。
派手さやトリッキーな展開は無いが、人物描写が巧みで、救い難い人間の業をたんたんと描き出している。地味だがよくまとまっており、味わいのある作品。