NARK(ナーク)

NARK(ナーク)
時々、大した期待感もなく観た映画が意外な力作だったりする。
この「NARK」も、そんな見つけものの一作。
デトロイトの警官で潜入捜査に従事していたテリス(ジェイソン・パトリック)は捜査の過程で一般人を銃撃してしまい、深い苦悩から立ち直れずにいる。そんな中、未解決の捜査官殺害事件の捜査を命じられ、殺害された捜査官の相棒であったオーク(レイ・リオッタ)とコンビを組むことになる。荒くれで抑えの効かないオークとともに徐々に事件の核心に迫っていくが、ラストには予想を裏切る展開が待ち受けている。
ナークとは密告者の意であるらしい。
製作にあたっては、あまりにも低予算で撮影中に資金がショートしたと解説にあったが、機材の故障でハンディカメラで撮ったような映像表現も臨場感があってとってもいい。主演の二人意外は全く知らない俳優ばかりだが、ジェイソン・パトリックは人生が破綻しかかったボロボロの刑事役を見事に演じているし、レイ・リオッタはこういう狂気を帯びた刑事役にはぴったりの性格俳優だ。「サムシングワイルド」の頃から、端正な容姿ながらサイコがかった凶暴なキャラクターを演じ続けてきた。もしかしたら生来こういう気質の人で、それを上手く演じ手として表出しているのかもしれない。
ハードボイルド作品としては一級の出来映えで、観終わった後になんともいえない余韻を残す2003年度の傑作。