名著であるため、ご紹介
『虚栄』 久坂部羊著 角川書店
この作家の作品が面白くて、昨年秋ごろから何冊も読んでいる。
本職の医師と作家という二足の草鞋で、テーマも現代医療の矛盾を厳しく指摘する作品が多い。
本作では、癌の治療開発を目的とした国家プロジェクトに際し、外科、内科、放射線科、免疫療法科が、それぞれの優位性を主張して覇権を争う。いかに予算を分捕り、自派の安泰を目指すかというところで足を引っ張りあい、それに製薬会社、医療系マスコミなども利権を求めて便乗し、権謀術数が繰り広げられる。「白い巨塔」の時代と何も変わらない医学界。
そこでは患者の命の問題は二の次である。
作中には、所謂「がんもどき理論」で、医療界から総バッシングされた近藤誠医師をモデルにした放射線科医も登場する。著者は、近藤理論の評価はともかくとして、その問題提起に対してシンパシーを感じているような描き方である。
二人に一人が癌と「診断される」長寿国家。
本作も救いのない内容ではあるが、他人ごとではない。
この作家の作品が面白くて、昨年秋ごろから何冊も読んでいる。
本職の医師と作家という二足の草鞋で、テーマも現代医療の矛盾を厳しく指摘する作品が多い。
本作では、癌の治療開発を目的とした国家プロジェクトに際し、外科、内科、放射線科、免疫療法科が、それぞれの優位性を主張して覇権を争う。いかに予算を分捕り、自派の安泰を目指すかというところで足を引っ張りあい、それに製薬会社、医療系マスコミなども利権を求めて便乗し、権謀術数が繰り広げられる。「白い巨塔」の時代と何も変わらない医学界。
そこでは患者の命の問題は二の次である。
作中には、所謂「がんもどき理論」で、医療界から総バッシングされた近藤誠医師をモデルにした放射線科医も登場する。著者は、近藤理論の評価はともかくとして、その問題提起に対してシンパシーを感じているような描き方である。
二人に一人が癌と「診断される」長寿国家。
本作も救いのない内容ではあるが、他人ごとではない。