名著であるため、ご紹介 2020年12月09日 『カネと共に去りぬ』 久坂部羊著 新潮社 本職の医師にして、医療をテーマにした問題作を多数発表している久坂部羊の短編集。 この著者らしく、現代の医療矛盾を鋭く抉り取った作品ばかりで、フィクションでありながら現実感があり、重く、救いがない。 終末医療を扱った作品がほとんどで、この長寿社会においてどういう形で最期を迎えるか、医師の職分とは何かということがテーマになる。 終末を迎えた患者と医師のかかわりを、おためごかしな綺麗事ではなく、リアルに描いた作品には、深く考えさせられる。 «前 次»