家へ帰ろう

家へ帰ろう
今年観た中ではベストと言える作品。
スペイン/アルゼンチンの合作映画で、主演以下なじみのない俳優さんばかりのロードムービー。
母国で辛くもホロコーストを免れたポーランド系ユダヤ人の主人公。老境に入り、親友との70年前の約束を果たすべく、移民したアルゼンチンから、一人ポーランドの生まれ故郷を目指す。親友についての情報は無く、生死すらわからない。迫害にあった時の後遺症で、不自由になった片足を引きずるように出立する。その旅は予期せぬトラブルの連続で、泥棒にあって無一文になった時には、義絶してヨーロッパに渡っていた娘の助けを得る。実はこの娘こそが、三人の娘の中で一番の親思いであったという、リア王のようなエピソード。そして困難に出会う度に、力添えしてくれる人が現れ(中には毛嫌いしているドイツ人も…)、導かれるように目的地に到達する。
皮肉屋でウィットに富んだ主人公の台詞回しが、この映画を少し明るいものにしている。
一見の価値あり。