本日の修理品/リーバイス 501

本日の修理品/リーバイス 501
バレンシアの工場で縫製したというリーバイスの復刻501。
今回はフロントボタン周囲のリペアでお持ちになりましたが、数年前、濃紺状態で当店で裾上げさせていただき、良い感じにアタリも出てきたのでご紹介。
ところで、チェーンステッチによる裾上げですが、誤解をされている方もいらっしゃるので、(何度目かになりますが)触れておきます。
チェーンで綿糸を使って裾上げすると、その後に糸が縮んでアタリが出ると信じている人もいますが、そうではありません。裾のアタリは、チェーン(環縫い)とも糸の材質とも関係なく、機械に挟み込むときのアタッチメント(ラッパ)の形状によって、三つ折り部分が直角に折り込まれず、微妙に斜めによじれることでおこります。独特の味わいがありますが、機械の構造による縫いずれなので、一種の縫製不良と言えなくもありません。
さらに言えば、チェーンステッチはシングルステッチに比べ、強度の点では劣ります。
チェーン(環縫い)はセメント袋の口をふさぐのに用いられていますが、セメントを使うときに、一カ所に切れ目を入れれば、そのまま縫いはじめの方向にツルツルと抜けていきます。あれと同じことで、一カ所糸切れをおこすと、そのままバラバラと糸が抜ける事があります。
そのため、現代の実用本位のジーンズ、ワークパンツの裾上げはほとんどシングルステッチになっているのです。
当店では、基本的にオリジナルのディテールに準じた仕上げをしていますが、頑丈さをお求めであれば、シングルステッチでの裾上げも可能です。