二つの祖国(テレビ東京版)

二つの祖国(テレビ東京版)
昨日前半が放送されたばかりだが、日系米国人家族の過酷な運命を描いた山崎豊子の名作を映像化。
あくまでファミリーヒストリーが中心なので、日米開戦に至る経緯や、ヨーロッパ戦線における日本人部隊の話などは部分的にしか触れられていないのが残念。
今日の後半は東京裁判が中心になるはずで、実際に東京裁判が開かれた防衛相の講堂でロケしたらしい。見た目は似ても似つかないビートたけしが東條閣下を演じ、これも似ていない笑福亭鶴瓶が大川博士を演じるらしいが、当時の映像も残っているシーンをどう演じるのだろうか。

ところで、日系米国人の大戦時の苦難については、以前日記欄(2010年05月17日)でご紹介した書籍が詳しいので再掲載。
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名著であるため、ご紹介

『棄民たちの戦場 米軍日系人部隊の悲劇』橋本明著 新潮社

真珠湾攻撃で日米が開戦し、アメリカ国内に居住していた日系アメリカ人は、その出自ゆえに(米国市民であるにもかかわらず)強制収容され、財産も没収されるという、過酷な運命に見舞われます。その鉄条網で囲われた収容所の中から、米国への忠誠心を証明すべく志願して結成されたのが第442部隊(日系人部隊)です。日系人に対する不当な差別、耐え難い偏見を克服するために手をあげた彼らはヨーロッパに送られ、最前線で戦うことになります。
「ゴー・フォー・ブローク」を合い言葉に、バンザイ突撃を繰り返し、文字通り決死の覚悟で戦った彼らは、米軍史上最多の死傷者と、そのひきかえに最多の勲章を獲得します。
生き残り、帰国の途についた黄色い肌のアメリカ軍人を迎えたトルーマンは「諸君は敵と戦っただけではなく、差別とも戦い、そして勝ったのだ」と述べています。
しかし、没収された財産ももどらず、名誉回復がなされるには数十年の後、レーガン政権の誕生まで待たねばなりませんでした。

本書には、厳しい差別にさらされながらも、アメリカ人の一員として国家に忠誠を誓い、悲劇的な戦いに臨んだ日系人の苦難の歴史が綴られています。

それにしても現代日本は、国内に住みついた敵性外国人に対してなんと寛容なことでしょうか。