ツーリングレザー

ツーリングレザー
時々、店頭にお越しのお客様より、使用中の無地のウォレットに(後から)カービングを入れる事は出来ないかとお問い合わせいただきます。
…残念ながら出来ないのです。
それは以下の理由によります。
まず、カービング製品の製作工程として、粗断ちしたパーツの段階でカービングはおこなわれます。その際に革全面に水を含ませた上で大理石の台座の上でカットを入れ、タガネでスタンプし、乾いたら着彩し、他のパーツと合わせて縫い上げ、製品となるのです。製品として出来上がっている状態でこの作業をおこなう事は出来ません。
また、最初から無地の製品として流通しているものは、カービング用の革とは材質が違います。無地の製品にはロウ質の革や、油分を染み込ませた革を使用しますが、これらには模様をしっかり彫り込む事が出来ません。カービング用のツーリングレザーは水分を含みやすく、彫りを入れて乾いた跡で彫り込まれた跡がクッキリと残る性質があります。とくに上質なツーリング用レザーは、何年経っても凹凸がはっきり残っています。
無地製品には無地の良さがありますので、商品の特性をご理解いただいてご愛用いただければとおもいます。

*画像は2004年に店内で製作したウォレット&携帯ケース。タンニンなめしのレザー使用。