ビッグ・アメリカン

ビッグ・アメリカン
レンタルDVDの数少ない西部劇コーナーで見つけた旧作。
本作はロバート・アルトマン監督で、勧善懲悪の西部劇とは全く趣が違う。ジョン・ウエインあたりの単純明快な西部劇が好きな人がこれを観たら、面白くもなんともないんじゃないかと思う。
舞台は1880年代、人気を博したバッファロー・ビルのワイルドウエストショー。
西部開拓も終わり、白人とインディアンの戦いがすでにショーの演目になってしまった時代。
往年のガンマンであるバッファロー・ビル・コディを中心に、曲撃ちのアニーや、かつて騎兵隊と死闘を繰り広げたスー族の戦士、シッティング・ブルなどがショーに登場する。ショーは連日大盛況だが、舞台裏では、一筋縄ではいかない出演者たちをまとめあげるのが大変である。バッファロー撃ちの名人として名を馳せたビルと、バッファローが捕り尽くされたために生活の糧を失い、やむなく白人に投稿したシッッティング・ブルが同じ舞台に立つのだ。
ロバート・アルトマン一流のブラックコメディで、老境に差しかかったビルも含め、実在した人物が色付けされて登場する。人間関係は皮肉と風刺に満ち、突き放したような描かれ方である。
俳優陣は必要以上に豪華。ビルを演じるのはポール・ニューマンで、脇役に大御所バート・ランカスターが出ている。アニーを演じるのはチャップリンの娘のジェラルディン・チャップリン。若い頃のハーベイ・カイテルも変なヘアスタイルで出演している。存在感があるのは、『カッコーの巣の上で』にも出ていた巨躯のインディアン、ウィル・サンプソン。
やたらと派手で意匠に凝ったウエスタンファッションはどうにも間抜けに見えるが、それもアルトマンの狙いのうちだろうか。かなりひねりの利いた異色の西部劇。
1976年、ベルリン映画祭で金熊賞受賞の作品。
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さて、西部劇で多少モチベーションが上がったところで、明日は日本ウエスタンの老舗、ファニーで商談の予定。