2012年12月

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本日の修理品
お預かりしていたまま、なかなか手を付けられなかったデニムの修理品。
元の裾線から1センチ強カットしてほしいということでした。カット分が3,5センチ以上であれば、三巻きステッチの上にハサミを入れてそのまま再仕上げ出来ますが、カットする寸法が少ない場合は一度裾線を解体して縫い代を確保した上で裁ち直します。元の折れ線がクッキリついているのでプレスで伸ばす必要もあります。今回は元の裾線が擦り切れてほつれ気味になっており、プレスの際に補強テープも接着します。

画像1/わずかなカットの場合は、元の縫い目を解体してプレスし直す必要があります。

画像2/擦り切れたところは接着芯地のテープで補強。

画像3/今回はチェ−ンではなくシングルステッチで巻き直し。元の裾線は内側に折り込まれる。
アイアンフック
9月に、エクステリアに使用するアイアンのチェーンを鍛冶屋のお客様におねがいしたが、その第二弾として同様の材料でフックを製作していただいた。
これは店内でハンガーがけした衣類をフェイスアウトで展示するための物。
無垢の鉄棒を穴を開けたステーに通し、接合部が表に出ないように裏側で溶接してある。一見、溶接物に見えない本職ならではの手間のかかる仕上げである。仕上げはサンダーで面落としをするだけの無塗装でお願いした。
この鉄の黒皮を残した素っ気ない仕上りが大好きで、見ているだけで心なごむのだ。
早速あちこちに取り付けたいのだが、今月はいろいろと多忙なので、少し先になりそうな模様。
パッチ&ネームプレート縫い付け
名前の通り戦車兵が着用したことで知られるタンカースは、飛行服としても流用されたジャケットです。
狭い戦車の中で着座して物を出し入れ出来るよう、左右の切りポケットが極端に上に付いています。
今回は左胸にパッチとネームを取り付けるため、左ポケットの玉縁の上端1センチくらいをそのままパッチで縫い留めてしまいます。

画像1/バズリクソンズのタンカースがベース。胸パッチは当店が在庫していたイーストマン社製の手刺繍物。

画像2/ヌメ革で製作したネームプレート。生地に染み出さない程度に薄くオイルを塗布。

画像3/左腕には渋で製品染めしたエアフォースパッチを縫い付け。

画像4/完成。
パッチ縫い付け
今回は関東のお客様の依頼でG-1がベースです。
お送りいただいたレザー製のパッチは、どこかの職人さんの手によるものでしょうが、一枚革にレザークラフトの手法で図柄を彫りみ、塗り分けられた非常に手間のかかったハンドメイドです。
2着のG-1に合計6枚のパッチを縫い付けますが、レザーパッチにはあらかじめ下穴を開けた上で縫い付け作業を行います。
1着は両腕にも縫い付けますが、難点は袖裏地(ポリエステル)の丈が短く、つっぱり気味で、表地(ゴートスキン)がだぶつき気味になっている点で、貫通縫い付けしたときにパッチ周りに皺が目立ちやすいところです。
年代物のG-1にはなぜかこういうものが多く、袖口のリブの付け部分で表地(ゴートスキン)がたまっているケースがよくあります。

画像1/レザーパッチのコバに下穴開け。

画像2/縫い付けの際には同じ穴を拾っていく。

画像3/両胸に縫い付け。

画像4/両胸と両腕に縫い付け。