2011年8月

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パッチ縫い付け
裏地がオレンジ色のレスキューカラーになったMA-1に当店の刺繍エアフォースパッチを縫い付けます。
MA-1に限らず、ほぼ全てのジャケットやブルゾンは、袖山部分で表地と裏地は固定されておらず、浮いた状態になっています。これは着用して体を動かした時の運動量に余裕を持たせる為と、袖山を縫い込んでしまうと、縫製作業上も不都合があるためです。
上腕にパッチを貫通させて縫い付ける場合、表裏の袖山の正しい位置をきちんと確認しないと縫いずれがおき、棚皺やツレが出ることがあります。
イングランドコンチョ
二の字に穴の開いたこのコンチョは、イングランドコンチョと呼ばれるものです。
この穴に裏から革帯を通してベルトに固定してコンチョベルトを作ったり、チャップスやスパーの固定にも用いられます。画像の様に革帯の端を表側に出してリボンのように使えばアクセントにもなります。
今回はバイクの外装に使用します。

画像上/短冊に切った革に二か所、切り込みを入れる。

画像下/コンチョの穴に革帯を通し、切り込みをくぐらせてリボン状にする。
ニューヨーク、狼たちの野望
この映画にこの邦題はないだろうというのが観終わった後の率直な感想。
しかし作品自体は小粒ながら素晴らしい。内容もよくわからずに借りてきたが、たまにこうした当たりを引くことがある。
ニューヨークのスタテン島を舞台に、3人の男の人生が交錯する。聾唖で肉屋の店員をしている老人(シーモア・カッセル)、清掃作業員として働きながら強盗を企てる新婚の男(イーサン・ホーク)、殺害した死体を毎回袋に詰めて肉屋に持ち込み、処分を強要するマフィアのボス(ヴィンセント・ドノフリオ)。
肉屋の店頭で偶然3人が居合わせるシーンから、並行してそれぞれの人生を描き、意外なかたち収束に向かう関系を描いている。最近この群像劇のようなスタイルの映画がずいぶん多くなったように思う。同じイーサン・ホークが出演した近作の「クロッシング」も同じ手法である。
イーサン・ホークやヴィンセント・ドノフリオの達者な演技もさることながら、やはり印象に残るのは独特の哀感があり、どことなくチャーミングなシーモア・カッセル爺だろう。この役を他の俳優が演じていたら、映画の印象自体が違うものになっていたのじゃないだろうか。
派手さは無いが、よく練られた脚本で、シリアスドラマにブラックユーモアの要素を加えたような絶妙な作品に仕上がっている。
怪奇現象
毎年お盆間近のこの時期になると、きまって店内で不思議な音が鳴り出す。
ピシッ、ピシッと小枝を踏みつけて歩く様な音である。
備え付けの音響器機のノイズではなく、ミシンなどの機械音とも違う。何の動きも無い空間で、突然音が鳴るのだ。
ある人はこれをラップ現象と呼ぶ。
…恐ろしいことである。
もしかしたら店の奥に鎮座するカウボーイきよじに憑依した霊の呪いかもしれない。日頃からとことん不信心なオーナーを戒めるサインととれなくもない。スピリチュアリズムの大家、江原啓之大先生であれば、たちどころに霊界からのメッセージであると断言するにちがいない。
しかーし…じつはこれ、無垢の木材が乾燥していく過程で反りが出て、内部がひび割れる時の音。特に日射しの強いこの時期に集中する。
当店の床には3,5センチ厚の無垢材を使っており、施工段階で100%水分が抜けてはいなかったということだ。完成時は隣り合う木材の合わせ目はピッタリで、紙一枚入らなかったが、15年以上経った今では3〜5ミリ隙間が空いている。その分乾燥して木が痩せたということになる。これはもちろん施工段階である程度予想が出来たことである。普通はコンパネを敷いた上で頑丈で変形しないウレタン仕上げのフローリングにするが、どうしても素地のままの材木を使いたかったのでこの仕様にした。
今では変色して傷だらけだが、良い味を出している。

画像下/余った床材を利用して製作したブーツ用のラック。古材風にペイント。
ウエスタンシャツ鋭意製作中
ショップでオリジナル展開しているウエスタンシャツは、買い付けた生地をテーラーの職人さんのところで裁断、縫製してもらい、スナップ釦を店内で打ち込んでいます。
これはテーラーさんではスナップ釦の打ち込みが出来ず、その工程のみ外部委託するとかなりコストアップしてしまうので、店内で対応するようになったのです。
今回、釦の色はグリーンのチェック生地に合わせて黒色を選択しました。スナップ釦は、上前立てと下前立てをそれぞれのパーツで挟み込んでカシメていきます。カシメが強すぎると留め辛くなり、弱すぎると抜けてしまいますので加減が必要です。
フェイク塗装(その参)
当店の、枕木を積んだ正面階段を上がると、ネコの額ほどのアプローチがある。
床面は凸凹したレンガ敷きになっているが、これも新品の素焼きのレンガの角を削り、漆喰と顔料で色付けしたものである。ガーデニングがブームになって以降は、アンティーク風レンガが一般家庭の外構にも用いられるようになり、その辺のホームセンターで手軽に買えるようになった。しかしそれもここ10年ぐらいのことで、それ以前はそんな気の利いたものはほとんど流通しておらず、現在のようにインターネットでお取り寄せというわけにもいかなかった。結局新品を加工してそれらしく仕上げようということになったのだ。もちろんこの作業も現在進行形で時折色が変化している。

*傘立てとして使っている素焼きの壷は常滑で購入したもの。メキシコ風にサボテンのペイントを入れた。その奥はブリキ製のジョーロ。
本日の修理品
ドロップハンドルは、2002年の末に開発され、ファニーのライダースウォレットに標準装備されることになりました。
これは実に画期的なもので、それまでの財布を出し入れする際のチェーンの絡まりを一気に解消する事が出来ました。
ではそれ以前はどういう仕様であったかといえば、コバにハトメ(アイレット)が打ち込まれ、その穴にウォレットチェーンのナスカンを挟み込むという使い方でした。しかしこれではチェーンが絡まりやすいのと、ハトメに負荷がかかって周辺の革が傷みやすいという問題があったのです。
今回お持ちいただいたバスケットのライダースは90年代にお買い上げいただいたもので、当時のハトメ仕様ですが、ガタが出ているナスカンやスナップ等の金属パーツを新品交換すると同時に、ハトメを取り外してドロップハンドルを取付けます。大切にお使い頂いているので本体にはほとんど傷みがなく、今回のリフレッシュでこの先何年も使っていただけます。

画像上/旧タイプのハトメの状態。

画像下/革を傷つけないようにハトメを取り外して真鍮製のドロッフハンドルを装着。
狼たちの処刑台
昔、チャールズ・ブロンソン主演でヒットした「狼よさらば」という復讐をテーマにしたシリーズがあったが、たぶんそれに引っかけて邦題を付けたのだろう。
原題は「HARRY BROWN」でマイケル・ケイン演じる主人公の名前なのだが、本作は英国が舞台の復讐劇である。
年金暮らしのハリーは、どこにでもいる地味で穏やかな老人。妻は末期状態で入院している。親友とチェスをする事が唯一の楽しみである。しかしハリー達が住むアパート周辺の治安は悪化の一途で、夜間に出歩く事も困難になる。ある日妻の入院する病院から危篤の知らせを受けたが、危険地域のトンネルを避けて遠回りした為に死に目に会うこともかなわなかった。さらには親友が地元のチンピラにトンネル内で惨殺され、自らも強盗に遭遇するにおよんで、かつて海兵隊としてIRAと戦った戦争の英雄は一人復讐を誓う。拳銃を手に入れ、次々に犯罪者達を血祭りに上げていくが、スーパーヒーローという感じではなく、息も絶え絶え、ヨロヨロしながら敵を追いつめていく。実年齢で80歳近いマイケル・ケインだから、無敵のアクション映画になってしまったら逆にリアリティが無くなるだろう。しかし実際に従軍経験もあるマイケル・ケインの拳銃さばきは落ちついていて堂に入ったものだ。名も知らぬジャンキー役の俳優のリアルな演技も光る(本当の中毒者かもしれないが)。映画で表現された英国社会のすさまじい荒廃ぶりは、ある程度実態を反映したものと思われる。
クリント・イーストウッドのグラン・トリノに続く、英国版のロートル映画の傑作である。
フェイク塗装(その弐)
主に店舗向けの塗装で古美仕上げと呼ばれるものがある。
これは専門の技術屋集団によって新品の部材(木材、金属、陶器)を加工して古くさい感じを出すものだ。近年ではエイジングと呼ばれる事も多い。手法も様々で、塗面をサンディングで荒らしたり、汚れを付けたりするするものから、化学変化を利用してひび割れが出るように質の違う塗料を重ね塗りするようなやり方まである。また樹脂や石膏に木目を入れたり、石調の模様を入れるトリックペイントというのもある。これは一般的な塗装職人の技能とは全く異なる能力を必要とする事は言うまでもない。美術系大学出身者の数少ない受け皿のひとつにもなっているようだ。
ロサンゼルスのホテルで欧米のフェイク塗装の文化に触れていたく感動したため、ショップを建てた際に、あちらこちらに色々な手法を試みてきた。
正面のガラスドアの枠は、元々何の変哲もないグレーのアルミサッシを採用している。刷毛でグリーンのペンキを塗って鉄扉風に仕上げたのだ。サッシ表面をサンダーで荒らして足付き良くして、所々パテをもって凹凸を付け、刷毛塗りした。アルミサッシは専用の粘度の高い塗料でなければ塗装出来ないと言われているが、実際はそんな事はない。そしてグリーンの塗装の上から色調の違う色を何層にも重ね塗りしてある。もちろんDIYである。何年にもわたって上塗りを繰り返していて相当手間がかかっている。実はペイントの仕事で余った塗料を塗っているだけなので、ついでといえばついでだが、現在進行形である。
それでも店舗づくりも商売の一部だと思ってそれなりに気を配ってはいるのだ。
ショップの内外装も、消費を喚起する重要なファクターにちがいない。
本日の修理品
昨今取引価格が暴騰しているシルバーですが、わけのわからない投機マネーの流入によるもので、実需とはあまり関係がありません。
逆に需要が伴わないのに入荷のたびに価格ばかりが上がっていくので、扱いにくい商材になってしまいました。いずれ価格が反転するのを期待していますが、それは誰にもわかりません。
さて、店頭で販売したブレスレットのサイズ直しが入りましたのでご紹介です。
長さを1センチ、コマ2ツ抜いて短くします。丸カンの付け部分でコマを糸鋸で切断し、2コマ抜いたら切り込みの入ったコマで丸カンとチェーンを繋ぎ、切れ目をロウ付けします。ロウ付けというのは接合するパーツをバーナーで600度以上に熱して、その接点に置いた銀ロウを溶かして一体化させる接着法です。原理的に溶接と違うのは、接合面の銀ロウを炙るのではなく、そのパーツ全体を赤くなるまで熱して、溶け出した銀ロウが接点に流れ込むようにするのです。したがってバックルや大型のコンチョの様な表面積の大きなものは熱が逃げやすく、その分大きな火力が必要になります。また、シルバーに異素材がインレイしてあるものにはバーナーが使えませんから、それらを取り外さないかぎりロウ付けはできません。
最近当店ではネイティブ系の石入りのリングやペンダントヘッドを中心にラインナップしていますので、手を加える事が難しいものがほとんどです。
それにつれてロウ付けでサイズ修正を行う事も少なくなりました。

*シルバー製品の修理は、当店で販売した商品のみの受付とさせていただきます。 
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本日のニュースより

自民議員に帰国説得=世論は入国拒否を当然視—韓国
【ソウル時事】韓国政府は1日、入国を拒否した自民党の新藤義孝衆院議員ら衆参両院議員3人をソウル・金浦空港から日本に強制的に帰国させる方針だ。新藤氏らは納得できないと主張しており、入管当局が説得を続けている。韓国内では、新藤氏らの訪韓に対し「日本の相次ぐ挑発」(聯合ニュース)などと非難する声が圧倒的で、入国拒否を当然視する雰囲気だ。
韓国政府は当初、竹島(韓国名・独島)に近い鬱陵島を視察する同議員らの計画に対し、自制を求めつつ、状況を見守る冷静な対応に努めた。しかし、入国を認めれば、激しく反発する市民団体などとの物理的衝突も懸念され、かえって問題がエスカレートしかねないと判断した。
与党ハンナラ党は同日、論評を出し、「独島を領土紛争の場に引きずり込もうという腹黒い内心をあらわにした」と議員らを非難するとともに、「政府も全般的な対日関係について再検討しなければならない」と強調した。
今後、韓国内で日本への強い対応を求める声が高まる可能性があり、8月15日の解放記念日の演説で、李明博大統領が今回の問題を取り上げるとの観測も出ている。 
(以上引用)

三議員の行動に敬意を表し、全面的に支持する。
さらに問題がエスカレートする事を強く望む。反日が国是の敵性国家と、無理して仲良くする必要はまったく無い。