2011年7月

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ビュイック始末記(車高調整編)
この車はリアショックのシリンダーに空気を送り込んで車高を調整する仕組みになっている。
といっても運転席でお手軽ワンタッチで操作出来るわけではなく、トランクを開けて、巨大なガソリンタンクの横に付いているバルブから空気を入れてやるのである。どこかのジョイント部分からか、ショックアブソーバー本体からかわからないが、すこしずつ空気が抜けているようで、二ヶ月に一度くらいは空気を入れてやらないとリアがベッタリ下がってローライダーになってしまう。
頃合いを見てガソリンスタンドのコンプレッサーでシュッと入れてやると、一瞬でグッとリアが持ち上がって精悍なホットロッドのスタイルになる。
そしてこの空気の補充は、意外にも自転車用の空気入れでも可能である。
自宅にあったごく普通の床置式の空気入れで、試しにやってみたらちゃんと入ったのだ。車体が重くて相当負荷がかかるので力がいるけれど(ジャッキアップした状態ならば楽に入れられるだろう)。
自転車用の空気入れも案外捨てた物ではない。

追記/一時、ハイドロリクスで車高をヒョコヒョコ上げ下げするアメ車をよく見かけたが、最近とんと見なくなった。まだどこかで生息しているのだろうか?
まぁ同じアメ車というだけでまったく別のカルチャーなのでどうでもいいけれど。
本日の修理品
今回、千葉県の方からご依頼いただいたのはデニムジャケットの身幅ツメです。
デニムジャケットはデザインによって接ぎ目の位置が様々で、それに合わせて対応を変えていく必要があります。お送りいただいたのはシュガーケーンのサードタイプで、これは背中がサイドパネルで切り替えになっており、この部分を肩のヨークに向かって詰めてやれば自然なシルエットで絞ることが出来ます。腰帯の上で左右3センチずつ、腰回りで6センチカットします。元の縫製は2本針の巻き伏せ環縫いですが、地縫いミシンで一本ずつステッチを入れていきます。
当然腰帯もカットしなければなりませんが、接ぎ目が目立たないように左右のアジャストボタン用のストラップを一旦取り外して、その下にくるようにカットします。カットした端はひっくり返して地縫いし、袋状になるように始末します。カシメボタンが邪魔をするのでこの作業がかなり手間取りました。

画像上/身幅ツメする前の状態。チャコでマーキング。

画像中/サイドパネルの継ぎ目は解体し、この後縫い代を残してカット。腰帯は接ぎ目がストラップの下に来るようにカット。

画像下/作業完了。
BILLY BATHGATE(ビリー・バスゲイト)
1991年の作品であるから、もう20年も前になるのか。
過去にたぶん2、3回は観ているが、なかなか味わい深い作品で、レンタルビデオ屋で目に付いたので借りてきた。
これは1930年代に実在したビール王、ダッチ・シュルツと、その見習いとなった青年を題材に描かれた小説の映画化である。
主人公ビリーは、バスゲイトというスラム出身で、ひょんなことから禁酒法時代に密造酒で財をなしたユダヤ人のギャング、ダッチ・シュルツ(ダスティン・ホフマン)の知遇を得て、使い走りとして重用される。度胸と頭の良さでダッチの信任を得ていき、愛人の世話係までまかせられるが、すでに組織は往時の勢いをなくし、傾き始めている。当局から目をつけられ、脱税で起訴されている立場ながらも衝動的に殺人を犯したダッチは、シンジケートからも粛正の対象となり、やがて暗殺者が差し向けられることになる。ダッチの金庫番、アバダバ・バーマンの配慮で結果的に命を落とさずに済んだビリーは、ひとりまた元のスラムの生活に戻っていく。
この映画は、ダスティン・ホフマンに加え、ブルース・ウィリスにニコル・キッドマンという豪華な布陣なれど、ダッチの旧友ボー・ワインバーグ役のブルース・ウィリスはあっさりと殺害されてしまい、出演シーン自体が多くない。すでにアクションスターとしての地位を得ていたウィリスがあえて出演するような役ではなかったように思う。ニコル・キッドマンはわがままで奔放な人妻役を好演し、ヌードシーンまで披露している。ダッチの用心棒役にはスティーブ・ブシェミが出演し、肺病病みのような顔で印象を残している。他に性格俳優のスタンリー・トゥッチ、強面のマイク・スターなどが競演。
主人公ビリーの目を通して描かれた殺伐とした裏社会。そこでの経験と、その社会との決別を軸に描いているということでは、青春ものと言えなくもない作品だが、配役が必要以上に豪華すぎ、なんだかテーマがぼけてしまった感がなくもない。
しかし、時を経てもあらためて観てみたいという気持ちになるのであるから、けして駄作という訳ではない。
少なくとも私の中では。

追記/ちなみにF・F・コッポラの「コットンハウス」にもダッチ・シュルツが出てくるが、こちらではジェームズ・レマーが演じていた。
コラボレーション(ファニー×センチネラ)
時折商談で、東大阪にあるFUNNY本社を訪ねますが、そこでは通常のラインナップの他に、カタログ掲載されない企画ものや、材料の関係でスポット生産のものなど、ちょっと面白いものを紹介されます。
現在生産に入っているFUNNY(スタリオンブランド)の素晴らしい時計についてはWHAT'S NEWでもご紹介しましたが、ほかに目に留まったのがこの少量生産のウォレット。
オルテガと並び、ニューメキシコ州のチマヨ地方を代表するラグメーカー、センチネラ社のラグを使用したファニーとのダブルネームです。
手染めされたウールの糸で織り上げられたネイティブ柄のラグを美しくインレイしてあります。革と織り目の荒いラグの縫い合わせは技術的に難しく、縫い付け部分がスリップ(滑脱)しやすいため、外回りをぐるりと覆うように黒いラティゴレザーのトリミングをつけてあります。裏打ちと中の仕切りにもラティゴレザーを用い、型くずれに配慮しています。1$コインコンチョの仕上げも美しく、コバで革を2枚合わせにして埋め込み始末してあります。
今後しばらくは(少なくとも年内は)製作予定の無いレアな商品です。
こちらは他の誰ともバッティングしない「単品もの」がお好きな方にお奨めしたい逸品。
地デジ難民
総務省によると地デジ対策済みの家庭が95%を越えたそうだ。
本当かどうか疑わしい数字だが、こんな発表がなされると、何もしていない人達があせって一斉に対策を講じるかもしれない。
しかし我が家では今のところ積極的に対策を講じるつもりが無い。
このまま地上波放送を見る亊が出来なくなって何か不都合があるかと考えると、実際何も無いから放置している。
むしろ子供の教育などを考えれば、TVなど観ずにその時間を読書にでも充ててくれた方が絶対に良いと思う。タイムリーな情報などはいくらでもインターネットで拾い読み出来るし、YOU TUBEだってある。一方で現在の地上波放送のバカバカしさといったらもう噴飯物だ。バラエティやつまらないドラマのオンパレードは以前からだが、韓国の国策に呼応して電通がゴリ押しする韓流は不愉快きわまりない。ある意味文化的侵略、間接侵略と言えなくもない。こんなのに易々と引っかかって韓流スターに嬌声をあげる日本人の頭の中には、現在進行形の領土問題など存在しないに違いない。
さらに報道系の番組の偏向、情報操作、情報隠蔽などはもう報道の体をなしていない。スポンサードする企業にはパチンコ屋、サラ金、携帯電話屋などの外国勢が幅を利かせ、この連中の影響下で、まともな番組など期待する方が無理なのだ。TVを介して世の中の情報に接していたらとんでもないことになってしまう。
…ということで、我が家がこのまま地デジ難民となることは確定的である。
コンチョベルト製作
ケイシイズのギャリソンベルトをベースにコンチョベルトを製作しました。
お客様の御要望で、あまり派手になりすぎないよう抑え気味に大小のコンチョを配置しました。着用した時に背中心から左右均等なバランスでおさまるように取付けしてあります。コンチョは純銀ではありませんが、銀メッキを施した上でイブシ仕上げしてある質感の良いモノをチョイスしていただきました。
このケイシイズのベルトは一枚革で6ミリ以上の厚みがあり、取付けに際しては穴を開けてネジ止めしますが、長ネジに交換しても長さが足りず、裏側のネジのおさまり位置を少し窪ませる必要があります(画像上)。加工に若干時間をいただきますが、翌日にはお渡し出来るようにしています。

価格/ベルト9345円
   コンチョ大1000円×2=2000円
   コンチョ小800円×4=3200円

   合計金額14545円
パッチ縫い付け
遠く熊本のお客様から刺繍パッチの縫い付け依頼です。
今回の作業は、色違いの一枚革のライダースベストに立体刺繍のパッチを各々3枚ずつ縫い付けます。
刺繍は極めて精緻な仕上がりですが、縁までびっしりと細かい刺繍が施されていますので、革用の針は使えません。側面に刃のついた革針でザクザク縫っていくと刺繍糸を切ってしまう可能性があるためです(縁がフェルト地になっている刺繍パッチを革に縫い付ける場合なら革針を使用します)。作業はミシンに布用の丸針をセットして手送りで縫っていきます。背中のスカルのパッチは形状が複雑で、何度もミシンを切り返しながら仕上げていきます。左前のパッチの縫い付け部分は、裏側の身頃の見返しと内ポケットに干渉して革が重なるため、抵抗が強くて布用の針では限界の厚みでした。
ところで熊本といえば阿蘇で例年チョッパーミーティングがおこなわれるのが有名で、当地半田市内のお客様でも参加している方がいらっしゃいます。
また、カントリーゴールドというカントリーミュージックの祭典も毎年開催されており、本国から超一流どころが来日する、ライブとカントリーダンスの一大イベントになっています。
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本日のニュースより

中国監視船、一時尖閣沖に=右翼系団体の動きけん制? —沖縄 
3日午前6時35分ごろ、沖縄・尖閣諸島の魚釣島の北西約31キロの日本の接続水域内で、中国の漁業監視船「漁政201」が南南東方向に航行しているのを海上保安庁の航空機が発見した。同庁の航空機が領海に入らないよう無線で警告し、監視を続けていたところ、監視船は約4時間後の午前10時35分ごろ、接続水域を出た。
尖閣諸島の実効支配を主張する日本の右翼系団体が2日、同諸島沖での漁業活動のため漁船数隻とともに、石垣港(沖縄県石垣市)を3日早朝に出港すると表明。3月11日以来となる同諸島付近での中国監視船の活動の背景には、こうした動きをけん制する狙いもあるとみられる。 
(以上引用)

印象操作なう。
保守系の団体(がんばれ日本全国行動委員会)が合法的な活動をしているのに右翼?
右翼=ヤクザもの、総会屋、政治ゴロといった世間のネガティブなイメージを悪用した時事通信の誹謗中傷。
本日の修理品
旧DENIMEのXXタイプの修理品です。
サイフを入れる方のバックポケットの口が大きく裂けていますが、これもカケツギで修理することが出来ます。
このタイプは、リーバイスの501XXに準じてポケット口の左右に胴の隠しリベットが打ち込んであります。もちろん補強の為の物ですが、布に金属パーツを打ち込んでいる訳で、実際には打ち込みの穴から生地が裂けてしまうケースが見受けられます。過去にも同じ状態の修理品を何点か扱っています(本家のリーバイス501は60年代に隠しリベット廃止)。
修理はポケット口のちぎれてしまった部分を別布で継ぎ足し、三つ巻きしなおしてからコバを縫い付けていきます。こういう状態で隠しリベットを再度打ち直すのは無理があるので、取り去って穴を塞いでしまうこともありますが、今回は残したまま、上にポケットを被せてリベットの端ギリギリをタタいて縫い付けました。
本日の修理品
FUNNYの携帯ケースのナスカンを新品交換しました。
合金製の軸の部分は常に負荷がかかる状態で使用されますのでどうしても摩耗してしまいます。
このナスカンの取り付け部分は、初期型はスナップ釦だったのですが、ナスカンの交換はワンタッチで可能な反面、ちょっとしたはずみでスナップが外れてケース本体を落としてしまうことが頻発したため、すぐにカシメ式に変更されました。ナスカン交換の際にはカシメごと新品交換になります。革を傷つけずにカシメ部分だけを削って取り外し、新品のナスカン(強化タイプ)を挟み込んでカシメを打ち直します。
所要時間は15分程です。

画像上/ナスカンを留めていたカシメを削って取り除いたところ。

画像中/新品のナスカンを挟み込み、アンビルに固定してカシメを打ち直し。

画像下/作業完了。