2010年12月

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本日の修理品
関東の方からWEPの修理及びパッチ付けを承りました。
WEPは袖の運動量を確保する為に後ろ身頃左右にプリーツが付いています。そして左右のプリーツの奥にステッチでオペロンゴムを留め、そのゴムの伸び縮みでプリーツが開いたり閉じたりするようになっています。しかしもともと薄手で引っ張り強度の足りないナイロン地なので、負荷がかかって裂けてしまうことがあるようです。プリーツの谷の部分ですから内側から縫い直す必要があります。作業は一旦裏地をはずし、裂けた部分をテープなどで補強して縫い直した上で、裏地を閉じることになります。このWEPには前身にフィリックスのパッチとネーム用のベルクロも縫い付けます。
今週はフライトジャケット関係の仕事をたくさんいただいていて、他にMA-1を2着、G-1、N-2B、N-3B、A-2をお預かりしています。
本日の修理品
かなり昔にお買い上げいただいたフェローズのウエスタンヨークのダウンジャケットです。
今では各メーカーの定番的なアイテムですが、これは出始めの頃だったんじゃないでしょうか。相当使い込まれて、ヨーク部分の本革は表面が劣化して細かいひび割れも見られます。ターコイズのシェルは所々退色していますが、それらがまた良い味を醸し出しています。
今回は右ポケットの止めの部分のステッチがほつれているので修理します。
裏地を外す必要は無く、上からのたたき付けですから作業としては難しくありませんが、ダウン・フェザーがぎっしり入っているので縫いずれないように注意して作業します。
午後からは東洋の弊社担当者が来店予定。
来期の商談やアパレル業界の情報交換をします。
お客様のトライク
昨夜、高年式のトライクを購入されたばかりのお客様がお立ち寄りになりました。
ベースはHONDAのGL1800、近未来的な曲線のデザイン、大きく張り出したリアビューが圧巻です。手慣れた職人によって各所にバランスよくピンストライプがペイントされています。走行安定製は抜群、装備もクルマ並みに充実しており、まさにロングツーリング向けのグランドツアラーという呼び名がぴったりですね。
戦う翼
原題は「THE WAR LOVER」、1963年英製作の白黒映画です。
近所のレンタル店の旧作コーナーの片隅にひっそりと置かれているのを見つけ、借りてきました。
スティーブ・マックィーンの映画はほとんど観ていましたが、この古い作品は今まで観る機会が無かったのです。
舞台は第二次大戦中の英国に駐留したアメリカ第8空軍基地。対独爆撃を担うB-17の機長バズ・リクソン大尉が主人公です。…そうです、東洋エンタープライズのミリタリーウェアのブランドネームはこの主人公の名前なんです。やや偏執的で向こう見ずなバズ大尉は、副官のロバート・ワグナー演じるボウ副操縦士と任務や異性をめぐって対立をくりかえしながらも戦績をあげていきます。しかし何回目かの爆撃任務を逐えた帰途、被弾したB-17が操縦困難になります。乗員は海上にパラシュート降下し、救援を待ちますが、バズ大尉は機からの避難脱出を拒み、ひとり操縦桿を握って帰投を試みます。最後は岸壁に激突、炎上して戦死します。ラストシーンでは生き残ったボウが、バズに密かに想いを寄せていた英国娘と結ばれてエンドロールが流れて終了です。
……なにコレ?…つまんねー!
ストーリーは凡庸で、人物描写も今ひとつ、何のヒネリも盛り上がりも無く、映画としては××ですね。
…ハズれました。
さて、今日は昨日お預かりしたデニムの修理品を仕上げていきます。
ビルフォード/クラシックバスケット+ビクターコンチョ
バスケットスタンプは、その名の通り革に編み籠のような模様を刻み込んでいく技術です。
1800年代後半のアメリカ西部で、馬具の装飾として発展したレザークラフトの技法の一つで、水分を含んだ革にタガネをあててたたいていきます。縦横に連続して打ち込むことで編み物のような柄を表現していくのです。一見フラワーカービング等と比べて簡単そうに見えますが、これが実際にやってみると非常に難しくて、縦横の柄を等間隔に、同じ深さで打ち込んでいくには熟練のワザが必要です。とくにこのクラシックパターンのバスケットは柄を通すのが難しく、経験年数の長い職人でないときちんとした物が仕上がってきません。FUNNYの工場でも小ロットの生産で希少品です。
このビルフォードにはお客様の希望でスターリングシルバーのビクターコンチョを装着しました。
本日の修理品
3本まとめてのデニムの修理依頼です。
同一メーカーの、おそらく同一品番で、よほどこのモデルが気に入っていらっしゃるのでしょう。ジーンズは、素材やフィット感が気に入ると、同じモデルで買い足す方も多いのです。
綿糸縫製のため全体に糸切れをおこしており、裾線、ポケット口、ボタンホールなどに手を入れていきます。
パッチ縫い付け
今日はバズリクソンズのMA-1のライトなカスタムから作業開始です。
右胸には米軍放出のU.Sエアフォースアカデミーのパッチ。左腕にはプリントのエアフォースマークを覆うようにストックの刺繍パッチを縫い付けました。
この製品染めされたウイングマークの刺繍パッチはまもなく在庫が無くなります。その後は新たに製作した同デザインのパッチにて対応させていただきます。
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本日のニュースより

北方領土「見とれるのは結構」 
ロシア外務省のサゾノフ副報道官は2日、菅直人首相や前原誠司外相が北方領土の視察に意欲を示していることについて、「日本の政治家が自国領の遠方からわが国の美しい景色に見とれることには何の反対もない」と述べた。インタファクス通信が伝えた。(モスクワ 遠藤良介)
(以上引用)

『わが国の美しい景色』だってさ…
盗人猛々しすぎて言葉も出ない。
日本政府はバカにされすぎ。
北方領土に本籍地を移した上坂冬子さんが生きておられたら何と言われただろうか。
マスコミもこういうニュースをもっと大きく取り上げろ!
河原乞食の歌舞伎役者の話題なんかどーでもいいわ!
本日の修理品
シュガーケーンのウエスタン・ダウンジャケットの修理品です。
SUGAR CANEのロゴ入りのキャップとソケット(メス)のカシメが甘く、お客様がスナップをはずした拍子に抜けてしまったようです。ソケット側に革のワッシャーが使われていますが、かなり厚みがあり、キャップ側の軸足の長さが足りないのが原因です。本来、ジャケット本体をメーカーに返送して対応させるケースですが、それでは時間がかかってしまうため、代替パーツを当店宛に発送してもらい、こちらの打ち具で修理いたしました。また前立て部分のステッチに2カ所ほつれが出ていたため、同色の糸でカケツギしました。
このロングセラーのジャケット、中綿がグースダウン80%とフェザー20%で見た目以上に暖かく、今回のような不具合もありますが、着用している方からは好評をいただいております。
ビンテージパンツの裾上げ
おそらく1930年代以前の物とおもわれるデッドストックのツイルパンツの裾上げ依頼です。
大きめのバックポケットは右側に一つだけ、腰帯にはサスペンダー用の釦が付き、後ろ中心の尾錠はスチール製で、ツメで生地を貫通して固定するタイプです。ディテールは最初期のリーバイスジーンズにも似ています。東海市からお越しになったお客様は未使用状態でコレクションされていたようです。着用するにあたっては裾が長過ぎるので、出来るだけオリジナルに近い仕様で裾上げしたいというご希望でした。
黒色系のカタン糸でチェーンステッチされているので、出来るだけ近い色合いのもので対応いたしました。
近年ここまで古いモノはなかなか流通しておらず、ましてそれを着用するケースはあまり多くないと思います。