2010年4月

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本日の修理品
フロントボタンのあき止まりのステッチがほつれて、股ぐりまでパックリ口を開けています。
これはビンテージ(及びそのレプリカ)では比較的多いケースです。
現代のジーンズでは、あき止まりの部分に閂というジグザグステッチの補強が入りますが、古いタイプにはそれが無く、綿糸のステッチでコの地縫いしてあるだけで強度が足りないのです。
ボタンを開いた弾みで一気に股ぐりまで裂けてしまうことがあります。
出先でこうなってしまうと恥ずかしいことにもなりますが、修理はそれほど難しくありません。
即日対応で、工賃500円〜といったところです。
ノードストロームはアメリカ西海岸を中心にチェーン展開する有力な高級品デパートです。
流通業界の方ならずとも、耳にしたことのある方は多いのではないでしょうか?
昨日の日記にもちょっと関連しますが、このノードストロームは、無条件の返品受付など、極端な顧客第一主義を社是として業績を伸ばしてきました。一昔前には日本でもその徹底した顧客サービスが紹介され、大きく話題になったこともあります。
伝説的な話をご紹介しますと、ノードストロームが新規に出店したお店に、以前同じ場所にあったカー用品店で買い物をした男が、タイヤセットを返品に訪れたというのです。ノードストロームはもちろんタイヤなどは販売していません。しかし、なんとその男の主張をそのまま受け入れ、返品に応じたというものです。
信じがたい話ですが、それほどまでに顧客の側に立った最高のサービスを提供するデパートとして、日本の流通業界の大物で大絶賛していた人もおります。
これぞまさに顧客サービスの極地………なんでしょうか?
この逸話を聞いた時の私の率直な感想は、
はぁ?…キチガイか?…
というものです。強烈な違和感とともに大きな疑問が浮かびました。
そんなことで返品を受けていたら、結局損金が出てしまうわけだから、その分、まっとうなお客さんにツケを回すことになるのです。
キチガイ客相手のロス分が何パーセントか知りませんが、その分企業体としては商品価格に反映させることになってしまいます。何のことはない、良識的なお客さんにかぶってもらうことになるのです。
…これって顧客第一主義なんですかね?
もうひとつ、大きな問題として、無責任で傍若無人な消費者を再生産してしまうということもあります。クレーマーが味をしめて、職業的な会社ゴロや、詐欺師にならないとも限りません。
これは他の流通業者にとっても非常に迷惑なことになります。

ノードストロームのようなやり方も一つのビジネスモデルだとは思いますが、正直、違和感をぬぐえませんし、問題点も多いのではないかと感じてしまいます。
特定商取引法表示内の返品・交換についての内容を、4月より以下のように改めさせていただきます。

*商品の品質につきましては万全を期しており、すべて検品の上、発送いたしますが、 万一商品に不具合があった場合、またはご注文と異なる場合はお手数ですが、お届け後一週間以内にご連絡下さい。良品との交換、又は返金対応いたします。その際の送料、手数料はすべて当方の負担です。但し、お客様が着用及び製品タグを破棄された商品は、お受け出来ませんのでご了承ください。

*お客様のご都合による返品・交換はお受けしておりませんので、あらかじめご了承の上、ご購入ください。

どう変わったかといいますと、いままでは返品特約のかたちでお客様の自己都合での返品も、一週間以内であればお受けしておりました。今後は、万一の商品の瑕疵以外は対応いたしません。
WEBでの販売は、お届け出来る情報量も限られており、現物販売のように手に取って見ていただく訳にはいきませんが、個別のお問い合わせにも可能な限り詳しくおこたえしますので、しっかりご検討いただいた上でのご購入をお願い申し上げます。
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ちょっと補足しますと…
そもそも法律的には、無条件での返品・返金の請求(クーリングオフ)が可能なのは、訪問販売、電話勧誘販売といった販売形態に限られています。通常の店頭販売、通信販売は対象になりません。この点を誤解されている方が時々いらっしゃいます。
経営の方針として無条件での返品に対応するSHOPの場合には、任意に期限を設けて『返品特約』をつけています。逆に言えば、特約がなければ購入者の一方的都合での返品には応じないということです。
現状では同業者の対応は様々ですが、当店では扱う商品の特殊性や、良識あるお客様との取引を前提に、上記の対応とさせていただきます。
スタッズワーク
FUNNY定番のバスケットベルトに、当店で二本爪のスタッズを打ち込みました。
バスケット+スタッズは40〜50年代のハリウッド・ウエスタン(エンターテイメントのウエスタン)のファッションによく見られます。今回はお客様のご要望で、アロー(矢尻)パターンでニッケルメッキのスタッズを全体に打ち込んであります。ポイントの部分には、ブラックとクリアのアクリルスタッズを交互に配してあります。
今回のような柄の入ったベルトをベースに使うのは、穴開けのときに目印になる目打ち位置が確認しづらく、かなりの労作になりました。

(参考価格)
ベルト8900円+スタッズ加工6500円
本日の修理品
デニムスカートのウエストサイズが大きいので、詰めてほしいとのご依頼です。
サイズはMの表記ですが、レディース特有の偽装表記(1月23日の日記参照)で、実寸はLに近いと思われます。本格的なサイズ詰めとなると、背中心に切り込みを入れて股ぐりにかけて左右の身頃を削っていくのですが、ウォッシュ加工された製品では接ぎ目が不自然な感じになりますし、手間がかかる(=工賃が高い)ので、この際は簡易修理で、腰帯に4カ所ダーツを入れてサイズを詰めます。ループとループの間の生地を2センチ弱つまんで片倒しし、全体で8センチ近く詰めることが出来ます。
ただしベルトをしていただかないとダーツ部分が目についてしまいますが…
工賃800円。
FUNNYのインディアンモカシン価格改定
店頭では告知させていただいておりましたが、値上げのお知らせです。
FUNNYのインディアンモカシン(チャイルドを除く)の全型が本日より1000円UPとなります。
ソール素材の値上がりに伴うもので、画像のコンチョ・ブーツの場合、本日以降のオーダー分は17100円(フロント3500円+ベース3500円+フラップ1600円+ポイント700円+レース600円+ボトム3000円+コンチョ1200円+クレープソール3000円)となります。
店頭及びWEB上で現物販売しているストック分については据え置き価格(16100円)です。
また以前販売させていただいたモカシンのソール張り替えにつきましても1000円UPとなります。
このデフレ時代に値上げするのかよ!という声が聞こえてきそうですが、原材料は確実に値上がりしていますし、もともと素材や色を好きなように組み合わせることが出来るオーダーシステムとしてはかなり抑えた価格設定でしたので、ひとつご理解いただきたいと思います。
ちなみに現在、注文から納品まで一ヶ月半程いただいております。
シーズン問わず着用出来、軽くて、肌触りも良く、ドライビングシューズとしても使い勝手の良いこのモカシン、男性にも女性にもお勧めです。