2010年1月

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早一週間
年が明けて、早一週間経ってしまいました。
私達物販業者はサラリーマンの方々のように年始にまったり過ごせる時間はありませんが、それにしても時間の経過が早く感じられます。一説によると、年を取るごとに時間経過に対する感覚が加速度的に早くなるそうです。10代より20代、20代より30代、30代より40代といったように…
はっと気づいたら老境にさしかかっているかもしれません。
ルーティンワークに埋もれること無く、日々感性を磨いていきたいものです。
昨日は東京から東洋エンタープライズの旧知の担当者二名が来店しました。
当店の取り扱いブランドの多くは、ここからリリースされます。旗艦ブランドのシュガーケーン、バズリクソンズ、サンサーフ、インディアン等はもちろん、今年はとくにロンウルフのブーツに力を入れていきます。海外ブランドの上を行く上質なつくりと履きやすさで、ブーツに一家言持つ人たちからも高い評価をいただいています。オーダーから仕上がりまで半年以上かかるのですが、出来るだけ現物販売出来るよう店頭のストックを充実させていきます。
さて、今日は昨年末にオーダーいただいた仕事にかかっています。イーストマン社のパッチをレザーでトリミングしてA-2に縫い付けます。
良書であるため、ご紹介
『昭和激流・四元義隆の生涯』金子淳一著 新潮社
本書は血盟団事件の首謀者であり、戦後政界の黒幕として絶大な影響力を誇った四元義隆氏の生涯を記したものです。
東大在学中に右翼のテロリストとして一人一殺を唱え、殺人罪で下獄、小菅刑務所で8年あまり服役した四元氏は、太平洋戦争直前に出所します。近衛首相を補佐し、陸軍の暴走に対抗しますが戦端はひらかれ、敗戦。日本再興のため文字通り身体を張って東奔西走する氏の生涯は、壮大なドラマそのものです。本書には氏と関わりのあった著名人がたくさん登場しますが、そうした人々の横顔、裏面も垣間みることが出来ます。
読了したあとに感じる爽やかさは、四元氏の徹底して無私な求道者としての姿勢、捨て石を覚悟した憂国の志によるのでしょう。
歴代総理の指南役、右翼の大立て者といわれる男の生涯は感動に満ちています。
ニットとカット・ソー
同じコットン素材のスウェットにも、大きく分けてニット(編み物)とカット・ソー(裁断・縫製物)があるのをご存知でしょうか?
ニットというとウール製品を想像しがちですが、素材とは関係なく、編み物一般を指します。一方カット&ソーは、編み地を型紙裁断(カット)し、縫製(ソーイング)することからこの呼び名があります。これは基本的に生地製品と同じ工程で生産されます。製品としては一見すると同じようですが、製造工程が大きく違い、商品特性も違います。簡単な判別法としては、ニットはボディの脇に接ぎ目がありません。これは丸胴といって、編み機でボディを筒状に編み立てていくのです(ただし袖やリブは裁断して縫い付け)。生産性の点ではカット・ソーにかないませんので、短サイクルで生産するレディース製品や比較的低価格の製品はカット・ソーが主流になります。
そしてニット製品には、現代の編み機で製品化したものと、半世紀前の吊り編み機(機械が柱に吊られた状態で固定されている)を再稼働させ、手編みに近い風合いにこだわったものがあります。画像のフェローズ製品は40〜60年代当時の吊り編み機でゆっくり編み上げられたものです。手編み感覚のざっくりした風合い・毛羽立ち・フィット感などは現代のものとはあきらかに違います。
生産性が低い(高コスト)のは力織機で織ったデニムと同様ですが、やはりこちらのほうが長い期間、気持ち良く着ていただけると思います。
バックとベリー
爬虫類素材として最高級とされる鰐革ですが、カットする部位によってかなり表情が違います。バックカット(背中をカットし、腹の部分を使用)では表面に凹凸が無く、鱗模様が揃って落ち着いた感じになります。ベリーカット(背ワニと呼ばれ、腹の部分を裂き、背中の突起部分を使用)ではゴツゴツした迫力のある製品に仕上がります。画像は希少なナイルクロコダイルをベリーカットで使用したFUNNYのウォレットです。背中の突起部分(クラウンといいます)を贅沢に使用するので、バックカットよりも割高ですが、迫力満点です。
クロコダイルはワシントン条約の規制対象ですので、個人で製品(または革材料)の輸入は出来ません。経済産業省に毎年申請をして輸入枠をもらい、その範囲で業者が輸入をしています。他にもニシキヘビやオーストリッチ(ダチョウ)も規制対象になっています。
新年早々のこの時期、小売業界ではお約束のように福袋を集客ネタにしています。このモノ剰りの時代に、多くの商品をつめこんだ袋詰めのセット商品が、どれだけ購買意欲をそそるのかわかりませんが、量販さんなどは12月初旬から準備作業しています。もはや売り上げ予定として予算が組まれ、年間スケジュールの一部になっています。実態としては余剰品をまとめ売りするのではなく、一部の余剰品とセール用に開発した商品の抱き合わせ販売といったところでしょうか。
実はアパレル業界には、セール品を専門に開発する業者さんがいます。そして度々問題になるのですが、その多くの商材が二重価格で販売されています。
二重価格というのは、正札10000円→セール価格5000円で販売されているものが、実際は10000円で販売された実績がなく、はなからセール価格5000円で販売されているようなケースをいいます。もともと5000円でも利益の出る製品であることは言うまでもありません。
これは一般消費者に誤解を生ぜしめる商法ですから、公取委の摘発対象にもなります。
しかし、常態化していて数が多過ぎ、事実上野放し状態なのです。
福袋に詰め込まれる商品も、おおくは福袋用に開発された商品ですから、もともと正札があるわけではありません。(50000円分の商品が福袋で10000円)などと謳われていても、そのまま鵜呑みにできるものではないのです。
だいたいまともなメーカーの商品を投げ売りしたりしたら、メーカーも黙ってはいないでしょう。自社の製品に誇りを持つメーカーはダンピングをほうってはおきません(じつはこれは価格制限で独禁法違反のおそれがあるんですけどね)。
福袋商法もひとつのビジネスモデルですし、全否定するつもりはありません。本当に良品を詰め合わせてお客様に楽しんでもらおうという姿勢のお店もあるとはおもいます。
結局はCS(顧客満足度)ということですから、とやかく言えませんが、供給する側にも様々な戦略があるのだということを書いてみました。
量販のみなさん、ごめんなさい。
あけましておめでとうございます。
昨年は大変お世話になりました。本年も倍旧のご愛顧の程、宜しくお願い申し上げます。
さて、本日より通常営業開始です。
お時間のある方はぜひお立ち寄りください。
お待ちしております。