勇気ある追跡

勇気ある追跡
少年時代からたくさん見た西部劇作品のひとつであったのだが、昨年観たこの映画のリメイク作品「トゥルー・グリット」があまりに素晴らしい出来だったので、このオリジナルのアナログ作品もあらためて観てみたくなったのだ。
こういうのも映画の一つの楽しみ方だと思う。
近くのレンタルビデオ屋は、誰がこんなもの観るのかと思うような韓流ドラマが中央什器を占領しているが、奥の片隅に申し訳程度の西部劇コーナーがある。そこにひっそり置かれているのだが、こういった旧作はほとんど手に取る人もいないにちがいない。
リメイク同様本作も原作小説に忠実なようで、物語りの大筋は変わりない。父の形見の大型拳銃コルト・ドラグーンを手に復讐を誓う少女マティ(本作ではキム・ダービー)を軸に荒くれの保安官コグバーン(ジョン・ウェイン)、テキサスレンジャーのラ・ビーフ(カントリーシンガーのグレン・キャンベル)も加わり、ならず者討伐の旅が始まる。雄大な自然をバックに南北戦争後の混乱も織り交ぜながらストーリーが展開していく。
ジョン・ウェインにとってはほとんど素のままといった感じのタフで茶目っ気のあるキャラクターでオスカー受賞した記念的作品でもある。敵役にはゴッドファーザーのトム・ヘイゲン役でスターになる前のロバート・デュバルが扮し、今回観直して初めて気付いたのだが、すぐに殺されるチンピラ役でデニス・ホッパーも出演している。
映画史に残る4対1の馬上の決闘シーンは美しい大自然を背景にしたロングショットが印象的だ。用心鉄を大きく改造したウインチェスターライフルを片手でクルリとまわして弾丸を装填するシーンは何度も観て目に焼き付いている。
シンプルなストーリーの中に普遍的なテーマが凝縮されており完成度は高い。
「トゥルー・グリット」をご覧になった方にも、そうでない方にもお奨めしたい1969年の傑作。