45オートの神/エジプト

45オートの神/エジプト
エジプトと言ってもかの国のことではない。
昭和40~50年代に主流だった金属製のモデルガンをベースとしたカスタムガンで一世を風靡したカスタム屋の屋号である。
モデルガン(45オート中心)に実銃と同じ後方撃針を取り付け、大量の火薬を使ってブローバックさせるというマニア垂涎の作品を世に送り出していた。もちろん発射機能はないのだが、構造的に実銃と同じというグレーゾーンの展開で、当時改造拳銃の摘発に血眼になっていた当局から目を付けられ、何度もガサ入れされたと聞く。
その後モデルガンへの規制は厳しくなって金属製が少なくなりプラスチックが主流になる。その後はサバイバルゲームで使用される様なプラスチック製で発射機能を持ったエアガン全盛時代となった。そんな時代にあってエジプトはもうすっかり過去の存在かと思っていたが、ネット情報によると今だ都内でコツコツとエアガンや無可動の金属モデルベースのカスタムガンを製作しているらしい。熟練の職人ワザが削り出す真鍮パーツの美しさは現代のマニア達からも絶大な支持を集めているようだ。
そんなエジプトの旧作品の中でもレアな一丁、MGCベースのトンプソン・サブマシンガン。
コルト・ガバメントと共用の45オートマチックを装填出来るトンプソンは古くは禁酒法時代のギャングの御用達であり、第二次大戦では米軍のみならず英軍も正式採用していた史上最もポピュラーなサブマシンガンである。テレビドラマの「コンバット」や「アンタッチャブル」を見ていた方なら名前を知らずとも見覚えがあるにちがいない。さらにマニアの方はお気付きだろう、MGCが製作したのは1921モデルだが当店所有のこの一丁はM1923の特徴だったロングバレルが取り付けられているのだ。カートリッジを送り込むボルトはフライス盤で削りだされた強化タイプでクロームメッキされている。機関部はすべてエジプトの手で大きく作り替えられているのだ。今はカートリッジが装填されることもなくそのポテンシャルも封印され、ミリタリークロージングを演出するディスプレイのひとつになっているが…。
世界一銃規制が厳しい日本だからこそ独自の発展を遂げたモデルガンの世界もまた奥が深い。