東京裁判 TOKYO TRIAL

東京裁判 TOKYO TRIAL
日、蘭、加、豪共同制作の長編ドラマで、ネットフリックスで視聴。
NHKが製作に関わっていたとは思えないほど、公平でバランスの取れた秀作。
本作は東京裁判の実際のフィルムに色付けしたものと、俳優たちが11人の判事やその周辺者を演じるシーンが組み合わされ、実に重厚な人間ドラマに仕上がっている。戦犯として裁かれた側ではなく、各国の判事を通しての視点ではあるが、戦勝国によって「事後法」で裁かれることの不当性も、インドのパル判事の主張を通してきちんと取り上げている。ナチスドイツを裁いたニュルンベルク裁判後、戦勝国側には、大日本帝国も同列に裁いて整合性を持たせる思惑があった。二年半もかけた東京裁判は、そもそも無理筋の戦勝国裁判であったのだ。
事実上東京裁判を取り仕切ったマッカーサー(本作ではマイケル・アイアンサイドが演じる)も後に、「日本の開戦は、主に自衛のためであった」と本音を語っている。
ドキュメンタリーとして編集された小林正樹の1983年「東京裁判」はあまりに長尺で集中力が必要だが、こちらはドラマとしての構成も優れていて一気に視聴できる(それでも3時間半以上あるが…)。
学習教材としても十分なクオリティの作品。