フェイク

フェイク
昨今、インディアンジュエリーが一般の方々の中にもずいぶん浸透してきた感があります。とりわけターコイズをあしらったものは人気がありますね。ネイティブ・インディアンを象徴する石であることは間違いありません。
そこで、このバックルをご紹介します。これは20年ほど前に、自分自身のために買い求めたものです。当時ビンテージウエアの買い付けで米西海岸を廻りましたが、南下してたまたま訪れたメキシコのシルバーディーラー(オーナーは白人)で一目惚れしたんです。地厚なスターリングシルバーの台座の上に、見事なエングレーブが施され、目の覚めるようなブルーの大きなターコイズが3個嵌め込まれています。
気に入って何年か使っていましたが、真ん中の石を留めているシルバーのトリミングがゆるんで、石がカタカタと音を立てるようになりました。石が落ちる前に直しておこうと思い、慎重にトリムを開いて一旦石を外しましたが、石の裏側を見ると、切断面が真っ白なのです。…(あれっ?)これ、染め物じゃないの!…色の褪めた石を染料で染め上げたフェイクなのです。台座のハンドメイドのシルバー細工の出来の良さに、自然石だと思い込んでいました。(このバックルは今でも自分のお気に入りのひとつですが)。
この20年前の話をひきあいに出したのは、現在ターコイズということで流通している石の多くが、天然のままではないということを知っておいていただきたいからです。20年前にして、現地でも手を加えたものが流通していたのですから、現在も推して知るべしです。大多数は色を注したもの、または練り物とよばれる天然石を砕いて粉末にして樹脂で成型したものです。そもそもターコイズは割れ易く、非常に加工しにくい素材です。ジュエリーとして用いる場合の強度や見栄えを考えて、あるいはコストを抑えるため、さまざまな加工がなされるのは当然と言えば当然です。かならずしも消費者を欺く意図がある訳ではありません。
しかし当店では誤解を避けるため、インポーターのお墨付きがあるものに限り天然石と表記させていただき、それ以外の確認が出来ないものについてはすべて加工品(の可能性有り)として販売させていただいております。

*年内は31日まで通常営業です(火曜定休)。新年は2日から営業いたします。