本日のニュースより

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ロシア、住民「保護」口実に軍事介入の懸念…親露派地域での爆発事件捜査を発表

ウクライナ東部で続く同国政府軍と親ロシア派武装集団との紛争を巡り、ロシアが介入とみられる動きを強めている。プーチン露政権がロシア系住民の「保護」を口実に、親露派の支配地域に軍事介入する懸念が一層強まってきた。
(以上引用)

二年ほど前だったか、手提げのトランクを持った背の高い白人が、ふらりと店内に入ってきた。
おもむろにトランクを開け、中に入っていたマトリョーシカをいくつか取り出して、拙い日本語で買ってくれないかという。
なんだロスケの物売りかと思い、きっぱりと断った。それでも青年は親しげに、自分はウクライナから来ていると言う。
何人だろうとマトリョーシカは要らないが、やたら愛想が良いので、少し話をした。
知人を頼って単身来日し、本業は英語の講師をしているという。ウクライナ人は母国語以外に英語も堪能な人が多いらしい。私も含め日本人からすれば、ロシア同様旧ソビエトの一部だったし、ロシア人と同じようなものだという感覚がある。日本の北方領土に住み着いているウクライナ人も多い。ウクライナ紛争も対岸の火事だし、仲間割れ程度の認識だった。しかしにこやかな青年は、プーチンのことを「KGB(カーゲーベー)の殺し屋」と言い、ギリシャ正教に帰依する我々は、ロシアに与することは無いという。彼の兄弟はウクライナ軍の兵士で、ずっとロシアと対峙しているとも言っていた。
青年は意外にも激烈な民族主義者であった。
それでもマトリョーシカは買わなかったが、その後、少し気になってウクライナに関するものを読み込んでみると、なかなか厳しい民族の歴史があった。
古くはモンゴルに侵略され、その後はナポレオン、先の大戦ではナチスに蹂躙され、その後はスターリンによる残酷な統治が長年行われた。シベリアに送られ、強制労働に従事させられた知識人も数多い。平坦で国境線の広い国土は、西からも東からも外敵に攻められ続けたのだ。
そして今、プーチンの餌食になりそうな情勢である。侵略の地ならしとして、ウクライナ内部の親ロ勢力を使って情報戦をおこなっている。曰く、ロシアとウクライナは不可分一体であるべきといったプロパガンダで、在日ウクライナ人の中にさえ、Youtubeでこの主張を唱える人もいる(もちろん日本語で)。
この先、プーチンが軍事侵攻しても、残念ながらアメリカが本気で介入することは無いだろうし、EUだって同じだろう。
このところのニュースを見ると、あのマトリョーシカ売りの青年はどうしているだろうかと、ふと思う。