「きよじ」THE COWBOY

「きよじ」THE COWBOY
店内一番奥の階段のところに寂しげにたたずむマネキンをご存知だろうか。
このカウボーイのマネキンは、ずいぶん昔にFUNNYが店頭用のディスプレイとしてアメリカから輸入したものである。
FUNNYの二次問屋をやっていた会社が販促用に使っていたのだが、売り場の担当者が退社すると、このマネキンも邪魔になったのか、後任者が私のところで引き取ってくれないかと言ってきた。もともとはびっくりするほど高額なものだが、お安くどうぞということだったので、それじゃ引き受けましょうということになった。
退社した前任者の名前を勝手に取って「きよじ」と命名した。
当初は、ディスプレイの中心として頻繁に着せ替えて有効利用するつもりだった。しかし、これが着せ替え用のボディとちがって関節ごとに外れないので大変なのだ。
関節部分は針金でつながれており、動きは取れるが、胴体と手足はつながったままの状態。シャツやジャケットの着せ替えにやたらと時間がかかる。
ノコナかジャスティンの中古のウエスタンブーツを履いているが、これが足の芯材にボルトで固定されているので脱着出来ない。ブーツを履いたままパンツを穿き替えるのは非常に困難である。
以上の理由で、「きよじ」はもう10年以上着替えをしていない。
年間通じて同じシャツとパンツでお客様をお迎えすることとなった。
…そして「きよじ」にはもうひとつのヒミツがあった。

<明日に続く>