身近にあるミリタリークロージング

身近にあるミリタリークロージング
大日本帝国陸軍四伍式軍衣は、明治45年の勅令によって採用された型式。
これは30年以上前に他界した祖父の遺品で、私が管理しているもの。裏地には検定印があり、大正十年支給の印字と筆書きの祖父の名がある。この詰め襟の軍服は第一次大戦を経て昭和13年まで採用され、その後は折り襟に変更になる。戦時中を描いた映画やドラマで登場するのはほとんど後年の折り襟タイプ。一方古参兵ではこの詰め襟の軍服も混在し、併用が認められたらしい。我が家に残された軍服は立ち襟の物のみだが、祖父が二つの戦争をこのタイプで通したのか、あるいは他の型式のものは紛失してしまったのか、今となっては確認のしようもない。もう一点の在郷軍人用の上着も立ち襟で、おそらく同年代のもの。ほかにも未使用のゲートル(脚絆)が二組遺されている。
遺品である上に資料としても貴重なものなので、これ以上傷みが進まぬよう、目の届くところに置いて保存していくつもりである。