H君と愛用品たち

H君と愛用品たち
ロン毛の富豪H君はいつも唐突にあらわれる。
今日は召使いもしたがえず、車もロールス・ロイスではなく、地味な日本車を運転してやってきた。土木作業に使う鹿革のグラブをわざわざ遠くから買いにきてくれたのだ。
アメリカで牧童の経験も有るH君は、この何年も使える鹿革のパフォーマンスを良く理解している。
彼は自分の眼にかなったものを購入し、徹底的に使い倒すのが昔からの流儀なのだ。
ついでなので、そんな彼の身の回り品をご紹介しよう。

画像上/その風貌から、道を歩けば人が振り返り、警察からは職務質問されるにちがいないH君。
お気に入りのビルフォードはカスタムオーダーのクロコダイル製。内部パーツは普通牛革を使うが、これには薄く漉いたクロコの腹の革が使われている。ちなみに同じクロコダイルを全面に使って製作した、怪しすぎるジャケットも愛用している。

画像中/金無垢のロレックス・デイトナ。画像ではわかりにくいが、全面的に傷だらけである。裏側には、購入時の記念として彼自ら釘で彫ったイニシャル入り。この時計をこんな風にラフに使うのは彼以外見た事が無い。金無垢のヨットマスターも同じように使っている。

画像下/一見してこれがエルメスのバッグだとは誰も思わないだろう。使い込みすぎて薄汚れたハンプの所々にほつれが出ている。しかしさすがは馬具メーカーが出自の会社で基本設計がしっかりしており、型くずれも無く、腰のある最上級の革を使っている。なんでも現金主義のH君は、いつもこの中に札束を詰め込んで持ち歩いているのだ。