フェイク塗装(その弐)

フェイク塗装(その弐)
主に店舗向けの塗装で古美仕上げと呼ばれるものがある。
これは専門の技術屋集団によって新品の部材(木材、金属、陶器)を加工して古くさい感じを出すものだ。近年ではエイジングと呼ばれる事も多い。手法も様々で、塗面をサンディングで荒らしたり、汚れを付けたりするするものから、化学変化を利用してひび割れが出るように質の違う塗料を重ね塗りするようなやり方まである。また樹脂や石膏に木目を入れたり、石調の模様を入れるトリックペイントというのもある。これは一般的な塗装職人の技能とは全く異なる能力を必要とする事は言うまでもない。美術系大学出身者の数少ない受け皿のひとつにもなっているようだ。
ロサンゼルスのホテルで欧米のフェイク塗装の文化に触れていたく感動したため、ショップを建てた際に、あちらこちらに色々な手法を試みてきた。
正面のガラスドアの枠は、元々何の変哲もないグレーのアルミサッシを採用している。刷毛でグリーンのペンキを塗って鉄扉風に仕上げたのだ。サッシ表面をサンダーで荒らして足付き良くして、所々パテをもって凹凸を付け、刷毛塗りした。アルミサッシは専用の粘度の高い塗料でなければ塗装出来ないと言われているが、実際はそんな事はない。そしてグリーンの塗装の上から色調の違う色を何層にも重ね塗りしてある。もちろんDIYである。何年にもわたって上塗りを繰り返していて相当手間がかかっている。実はペイントの仕事で余った塗料を塗っているだけなので、ついでといえばついでだが、現在進行形である。
それでも店舗づくりも商売の一部だと思ってそれなりに気を配ってはいるのだ。
ショップの内外装も、消費を喚起する重要なファクターにちがいない。