再会

再会
昨日、私が当地で商売を始めたころからの友人N君が十数年ぶりに来店した。
彼は長い間仕事で地元を離れていて、つい先頃帰省したばかりだそうだ。
改装後の大きく変わった店内の様子を見ながら、この場所に新店舗を建てたときのことに話が及ぶ。外構工事で枕木を使う事になり、それを運搬する際に彼には世話になったのだった。
枕木は最近でこそホームセンターで購入できるようになったが、当店で土留めと正面階段に利用している大量の枕木は当時名鉄富貴駅から入れ替えの際 に出たものをいただいてきたものだ。
通常償却済みの枕木は出入りの業者が引き取るのだが、名古屋鉄道の施設本部にコネクションがあったので話をつ けてもらい、菓子折り一つで貰い受けに行った。
その時にシヴォレーのトラックに乗っていたN君は二つ返事で運搬を引き受けてくれたのだ。
現場に着くと鉄道施設の中に入るということで、ご丁寧にヘルメットをかぶって蛍光のタスキを付けた係の人が二人ついてくれ、線路脇に車を止めて運 び出しをした。結局一回では運びきれずに二往復したが、重くて硬い栗の枕木を満載しても5700CCの強力なエンジンは余裕の走りだった。
荷台にはずいぶん傷が付いてしまったが、鷹揚なN君は気にもせずへらへらと笑っていた。
その枕木は一本残らず利用し、ずいぶん傷みがきてはいるものの、今も店舗の一部として役割を果たしているのだ。