BILLY BATHGATE(ビリー・バスゲイト)

BILLY BATHGATE(ビリー・バスゲイト)
1991年の作品であるから、もう20年も前になるのか。
過去にたぶん2、3回は観ているが、なかなか味わい深い作品で、レンタルビデオ屋で目に付いたので借りてきた。
これは1930年代に実在したビール王、ダッチ・シュルツと、その見習いとなった青年を題材に描かれた小説の映画化である。
主人公ビリーは、バスゲイトというスラム出身で、ひょんなことから禁酒法時代に密造酒で財をなしたユダヤ人のギャング、ダッチ・シュルツ(ダスティン・ホフマン)の知遇を得て、使い走りとして重用される。度胸と頭の良さでダッチの信任を得ていき、愛人の世話係までまかせられるが、すでに組織は往時の勢いをなくし、傾き始めている。当局から目をつけられ、脱税で起訴されている立場ながらも衝動的に殺人を犯したダッチは、シンジケートからも粛正の対象となり、やがて暗殺者が差し向けられることになる。ダッチの金庫番、アバダバ・バーマンの配慮で結果的に命を落とさずに済んだビリーは、ひとりまた元のスラムの生活に戻っていく。
この映画は、ダスティン・ホフマンに加え、ブルース・ウィリスにニコル・キッドマンという豪華な布陣なれど、ダッチの旧友ボー・ワインバーグ役のブルース・ウィリスはあっさりと殺害されてしまい、出演シーン自体が多くない。すでにアクションスターとしての地位を得ていたウィリスがあえて出演するような役ではなかったように思う。ニコル・キッドマンはわがままで奔放な人妻役を好演し、ヌードシーンまで披露している。ダッチの用心棒役にはスティーブ・ブシェミが出演し、肺病病みのような顔で印象を残している。他に性格俳優のスタンリー・トゥッチ、強面のマイク・スターなどが競演。
主人公ビリーの目を通して描かれた殺伐とした裏社会。そこでの経験と、その社会との決別を軸に描いているということでは、青春ものと言えなくもない作品だが、配役が必要以上に豪華すぎ、なんだかテーマがぼけてしまった感がなくもない。
しかし、時を経てもあらためて観てみたいという気持ちになるのであるから、けして駄作という訳ではない。
少なくとも私の中では。

追記/ちなみにF・F・コッポラの「コットンハウス」にもダッチ・シュルツが出てくるが、こちらではジェームズ・レマーが演じていた。