「きよじ」THE COWBOY その弐

「きよじ」THE COWBOY その弐
私は元々無神論者である。
その信念が揺らぐことはない。時には神社仏閣に赴き、手を合わせることがあるが、それは日常生活の一部であったり、世間の義理であったり、故人に対する儀礼の範囲である。
特定の神仏や、霊的なものや、あの世を信じているわけではない。
人様が何を信じようが勝手だが、不信心も勝手である。
まして、似非宗教の類い、前世来世だの、スピリチュアルだの、オツムの足りないおねーちゃん達が喜ぶようなヨタ話が大嫌いだ。この手の話は百害あって一利もないからである。
インチキが露見した江原みたいな霊感詐欺師や、美輪明宏なんぞは早く死ねばいいのにといつも思っている。こういうのを番組に出演させるテレビ局も同罪で、貴重な電波を使って社会に毒を垂れ流しているようなものだ。
ところがある日のこと、たまに来店されるお客様で、教育程度が高く(しかも理系)、りっぱな仕事で社会貢献し、平素は極めて常識的な言動をする方から、霊媒師のような発言があったのでかなり驚いた。
その方曰く、当店の「きよじ」には誰かが乗り移っているそうだ。
真顔である。そういうのを感じ取る体質だという。
なんとかという草をお香にして焚くと良いとまで言われ、返答に窮してしまった。
カウボーイの霊であろうか?
日本式の徐霊方法で通じるのかな?などと頭の中でツッコミながらも適当に受け流し、もちろん放っておいた。
そして翌日のことである。
出勤して、いつも通り開店前の店内をまわっていると…?

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