名著であるため、ご紹介

名著であるため、ご紹介
『女帝小池百合子』石井妙子著 文芸春秋

サブタイトルに「救世主か?怪物か?」とあるが、間違いなくとんでもない怪物であろう。
本書を一読すればわかるが、驚くほど時間をかけた丹念な取材であり、信憑性が高い。著者の石井妙子さんへのインタビューもYoutubeで見ることが出来るが、きわめて慎重に言葉を選ぶ人で、実直な印象を受けた。本書のレビューを見ても、否定的なコメントを寄せている人はほとんどいない。
小池百合子の半生は、嘘に嘘を上塗りしたようなものであり、その嘘を剥ぎ取ったら、ほとんど何も残らない。
目立つパフォーマンスばかりで、政治的な実績がほとんどないばかりか、首長になってからは、東京都の財政をドブに捨てるような真似をしている。
一見魅力的で、弁が立ち、強いリーダーシップがあるように錯覚する。しかしその人生は、利用できる相手に巧みに近付き、利用価値がなくなると見るやさっさと次に乗り換えることの繰り返しである。自己顕示欲と権力欲が異常に強い一方、元々政治家としての理念はない。自分にとって不都合な人間を悪者に仕立て上げ、排除するのも朝飯前である。
詐欺師で政治ゴロの父親の気質を受け継いでいるのだろうか。親子ともに、脳科学者の中野信子さんの著書に出てくるサイコパスそのものである。
40年前の学歴詐称などどうでもいいという人がいるが、この人は「カイロ大学主席卒業」の触れ込みでTVキャスターの仕事を得、政治家に転身し、 今の地位に登り詰めた。そもそもこの肩書が無ければ、今の小池百合子は存在しないのだ。
また学歴詐称はこの人のパーソナリティの一端が現れたに過ぎず、過去に関わった人たちが、皆蛇蝎のごとくこの人を嫌うことからも、その人間性が垣間見れる。
都知事選間近のこのタイミングで出版され、政治的な背景を指摘する人もいるが、むしろこの時期だからこそ読むべき本である。
このような怪物が、首都の長であって良いはずがないのだ。