名著であるため、ご紹介
『戦争は女の顔をしていない』 スヴェトラーナ・アレクシェーヴィチ著 三浦みどり訳 群像社
我が国においては、戦争時、一般女性は銃後の守りに徹するのが当然であった。
しかし、スターリン体制下のソビエトはそうではなかった。
女性が男性兵士と同様の訓練を受け、最前線にまで出陣していったのだ。それも衛生兵はもちろん、歩兵、狙撃兵、戦車隊員、コサックに加わり騎兵になった者、中には戦闘機に乗っていた女性兵士もいる。
その多くは徴兵ではなく、志願兵であり、士気は高く、その数なんと100万人にも及ぶという。
対独戦を生き残り(戦死したり、障害を負った女性も少なくない)、祖国ソビエトの礎となった女性たち。スターリニズムによる洗脳が奏功した部分もあっただろう。しかし同時に、領土を侵奪され、親族や知人をナチスドイツに奪われた憎しみが、彼女たちを駆り立てたに違いない。
この本は、そうした元女性兵士にインタビューし、その実体験を出来るだけ正確に伝えようと試みている。
夥しい数の証言は、英雄的行為だけではなく、時には両軍の、人間性を失くした行動にも触れている。
元女性兵士の証言集など、他に類を見ない。
東西の戦史を読み込んだ方にも、一読をお勧めしたい一冊。
我が国においては、戦争時、一般女性は銃後の守りに徹するのが当然であった。
しかし、スターリン体制下のソビエトはそうではなかった。
女性が男性兵士と同様の訓練を受け、最前線にまで出陣していったのだ。それも衛生兵はもちろん、歩兵、狙撃兵、戦車隊員、コサックに加わり騎兵になった者、中には戦闘機に乗っていた女性兵士もいる。
その多くは徴兵ではなく、志願兵であり、士気は高く、その数なんと100万人にも及ぶという。
対独戦を生き残り(戦死したり、障害を負った女性も少なくない)、祖国ソビエトの礎となった女性たち。スターリニズムによる洗脳が奏功した部分もあっただろう。しかし同時に、領土を侵奪され、親族や知人をナチスドイツに奪われた憎しみが、彼女たちを駆り立てたに違いない。
この本は、そうした元女性兵士にインタビューし、その実体験を出来るだけ正確に伝えようと試みている。
夥しい数の証言は、英雄的行為だけではなく、時には両軍の、人間性を失くした行動にも触れている。
元女性兵士の証言集など、他に類を見ない。
東西の戦史を読み込んだ方にも、一読をお勧めしたい一冊。