名著であるため、ご紹介
『国境』黒川博行著 講談社
あまり小説は読まない方だが、『文福茶釜』を読んで以来、この人の作品を読むようになった。
これは映像作品にもなった『疫病神』の続編で、金筋のヤクザと半カタギのコンビ(BSドラマでは北村 一輝×濱田岳が演じた)が、ヤクザ組織から金を毟った詐欺師を追いかけて中国に入国、さらには豆満江を越えて北朝鮮に蜜入国し、金の在処を追うというハードボイルド。スパイもののような荒唐無稽な内容なのだが、それが筆者の綿密なリサーチと圧倒的な筆力によって、リアリティのある作品に仕上がっている。とくに北朝鮮人民の絶望的な暮らしと、人心の荒廃ぶりの描写はみごとである(今でこそ広く知れ渡っているが、この作品が発表されたのは10数年も前なのだ)。主人公二人の大阪弁での掛け合いも絶妙で、お互い全幅の信頼は置いていないが、断ち難い腐れ縁で結ばれている。周辺人物も、いかにも実際にいそうなキャラクターが上手く配されていてストーリーを盛り上げる。
かなりの長編だが、最後まで退屈させない第一級のエンタメ作品。
あまり小説は読まない方だが、『文福茶釜』を読んで以来、この人の作品を読むようになった。
これは映像作品にもなった『疫病神』の続編で、金筋のヤクザと半カタギのコンビ(BSドラマでは北村 一輝×濱田岳が演じた)が、ヤクザ組織から金を毟った詐欺師を追いかけて中国に入国、さらには豆満江を越えて北朝鮮に蜜入国し、金の在処を追うというハードボイルド。スパイもののような荒唐無稽な内容なのだが、それが筆者の綿密なリサーチと圧倒的な筆力によって、リアリティのある作品に仕上がっている。とくに北朝鮮人民の絶望的な暮らしと、人心の荒廃ぶりの描写はみごとである(今でこそ広く知れ渡っているが、この作品が発表されたのは10数年も前なのだ)。主人公二人の大阪弁での掛け合いも絶妙で、お互い全幅の信頼は置いていないが、断ち難い腐れ縁で結ばれている。周辺人物も、いかにも実際にいそうなキャラクターが上手く配されていてストーリーを盛り上げる。
かなりの長編だが、最後まで退屈させない第一級のエンタメ作品。