クレイジー・ハート

クレイジー・ハート
先月日本でも一部の劇場で公開された、本年度のアカデミー賞2部門を獲得した作品です。
FUNNYがこの映画の宣伝に噛んでいた関係で、次長がDVD(字幕入り)を送ってくれました。
かつて一世を風靡しながら、落ちぶれてドサ周りを続けるカントリーシンガーが、シングルマザーとの出会いで人生に希望を見いだし、再びクレイジー・ハート(荒ぶる魂)で人生に向き合うという再起の物語です。
主演男優賞を受賞したジェフ・ブリッジスは、劇中の曲を吹き替え無しで歌いきり、人生に傷ついたアル中のシンガーそのもので、無精髭とヨレヨレのウエスタンシャツ、ボロいシボレーがいかにもといった感じです。シングルマザーとして懸命に子育てする地方紙の記者役のマギー・ギレンホール、友人として主人公をささえる役のロバート・デュバルの演技も光ります。かつての弟子でスーパースターを演じたコリン・ファレルもしぶい歌声を披露しています。
ストーリーはいたってシンプルで、ちょっと前に公開されたミッキー・ロークの「レスラー」にダブるところもあります。ただ脚本のせいか編集の都合かわかりませんが、人物の描き込みが足りないような気がして、かなり想像力を働かさないといけません。
地味で良質な作品ですが、本国での評価とは裏腹に日本では話題になる事も無く、大手のシネコン系では全く上映されなかったのは残念です。
しかし俳優陣の抑制の利いた演技は素晴らしく、全編に流れるカントリーミュージックも、背景の土埃舞う大地にぴったりとマッチして心にしみます。アメリカ南西部の雰囲気やカントリーミュージックが好きな方には充分楽しめる映画だと思います。