鑑定士と顔のない依頼人

鑑定士と顔のない依頼人
最近行くようになったレンタル店でいくつか借りてきた内の一本。
名優ジェフリー・ラッシュの近作。
骨董鑑定の世界で頂点に登りつめた主人公は、一方で掘り出し物の真正の絵画を贋作と鑑定し、知人の画家にオークションで格安で落札させるということを繰り返している。それらは自宅の隠し部屋に収蔵され、人と深く関わろうとしない男の無上の愉しみとなっていた。ある日、両親から受け継いだ膨大なコレクションを処分したいという女性から連絡があり、屋敷に出向くが、そこに依頼人の姿は無い。その後も管理人まかせで姿を現そうとしない依頼人を不審に思い、途中でオファーを断るものの、奇妙なかたちで関係は深まっていく。
真贋を見抜くことに人生をかけてきたきた男が見抜けなかったものとは…。
修道院で育ったという男の出自を含め、宗教的な示唆が沢山盛り込まれた作品。
細部まで作り込まれたセットや小物類、耽美的な映像で、作品の完成度は高い。