それでも夜は明ける

それでも夜は明ける
昨日鑑賞したが、劇場に足を運んだのは久しぶりだった。
アメリカの懐の深い所は、自国の負の歴史を映像化した作品をきちんと公開し、評価するところだと思う。
そこには自国の奴隷制度に対する贖罪意識も含まれるのかもしれないが…。
バイオリン奏者として何不自由無く生活をする解放奴隷の主人公が拉致され、奴隷として南部のプランテーションに売られてしまう。そこから解放されるまでの苦難の12年間(1841〜1853)を綴った実話の映画化。全編に黒人奴隷たちの救いのない日常がイヤというほど克明に描かれる。
そして奴隷に過酷な労働を課す農場主たちはみな敬虔なキリスト教徒であり、聖書から引用した言葉を臆面も無く口にする。このあたり、クリスチャンのご都合主義を厳しく批判しているように受けとめられなくもない。
結果的に主人公は身分を証明して解放されたが、その他多くの奴隷たちはプランテーションに取り残されたまま、望みの無い日々が続く。
ほんの百数十年前のアメリカの出来事である。
これぞまさに現実にあった白人による「SLAVE」の実態である。