パッチ縫い付け…難あり

パッチ縫い付け…難あり
当店では工賃をいただいて持ち込みパッチの縫い付けもお受けすることがありますが、中には縫い付けが困難なパッチというのがあります。
これはお客様には判断のしようがなく、店頭に直にお持ちになった場合はご説明した上でお断りしていますが、今回は九州の方からの電話でのご依頼であったため、パッチのつくりについては未確認でした。送られてきた現物を見て、あ〜ぁ、この手のヤツだったか…となったのです。
なにが問題かと言うと、プリントされた絵柄の周囲にトリミングされた製品ですが、このトリムの幅が9ミリほどしかなく、しかも革が薄くて柔らかいため、押さえガネで固定することが困難なのです。押えガネは内側のステッチで革が二枚合わせになるところで高さが固定されてしまい、コバ近くでトリムの薄革一枚になるため、針が落ちる外側のコバステッチ位置で革がペラペラと浮いた状態になり、目飛びを繰り返すことになります。押さえガネを段付きのものや、片押えなど違う形状のものに変えたり色々試しましたが、(当方の機械では)どうしても上手くいかないのです。目飛びしないようにするためには、針の送りを前進、後進と何度も繰り返し、上糸と下糸がちゃんと絡んだのを確認してから一針ずつ進めなくてはなりません。きれいに仕上げるには途方もなく時間がかかってしまいます。
縫い付けることが前提のパッチなのだから、もう少し材料の選定やつくりに配慮があってもよかろうにと思います。

画像1、3/針を落とすコバの位置で浮いた状態のトリミング。

画像2、4/ボディはメーカーの異なるB-10。